2009 Fiscal Year Annual Research Report
豊かな生活環境が及ぼすメタンフェタミン依存に対する影響と薬物依存治療の可能性
Project/Area Number |
21790254
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
北中 順惠 Hyogo College of Medicine, 医学部, 講師 (30340954)
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Keywords | メタンフェタミン / 豊かな環境 / 摂食行動 / 回転皿 / 自発運動量 / 飲水行動 / ストレス / 覚せい剤 |
Research Abstract |
メタンフェタミン(METH)依存に対する治療方法を探索する目的で、METH作用に影響を与えうる環境因子の一つとして、巣付き回転皿を用いた。まず、回転皿がnaivelCRマウスの終日の自発運動にどう影響するか検討した。マウスの基本行動、すなわち水平方向自発運動量、摂食行動(餌箱への接触回数、食餌ペレット消費量)、飲水量、および回転皿の回転数を室町機械社製自動行動観察システムを用いて3日間計測した。その結果、回転皿がある群は無い群に比べ、優位に運動量が上昇し、餌箱への接触回数は、食餌量に影響することなく減少した。これにより、食餌箱への接触はマウスにとって、レクレーション様の目的をもつこと、それは回転皿により代替されうるものであることが示唆された。次に単頭飼育で3日間回転皿を経験した群と、経験していない群でその後の1.0mg/kgMETHによる、運動量上昇に対する影響を3時間測定した。その結果、両群で優位な違いは見られず、3日間の単頭飼育では、その後の覚せい剤による運動量上昇に影響を与えなかった。次に、METHを投与すると同時に、回転皿存在あるいは非存在下において、上述の5種自発行動に影響かでるか検討した。投与は全て午前9時半に行い、その後23時間30分測定した。その結果、回転皿がある群は、消灯時間(午後7時から午前7時)の間の回転皿回転数が優位に減少した。Naiveの対照マウスにおいては、同時間帯の回転皿の回転数は増加することから、METH処置により、運動量の上昇(通常投与後3時間)が消失した後の自発運動にも影響しており、回転皿を用いることで、従来の自発運動量を測定する方法では解析できなかった側面がよりストレスの小さな環境において研究できると考えている。引き続きMETHによる行動感作に対する回転皿の影響を検討中であり、薬物依存に対する影響(CPPによる)も準備中である。
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