2009 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子BachによるB細胞初期分化調節機構の解明
Project/Area Number |
21790261
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武藤 哲彦 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 講師 (80343292)
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Keywords | 転写因子 / 細胞分化 / 遺伝子 / 免疫学 / B細胞 |
Research Abstract |
細胞分化は遺伝子ネットワークの変化とも捉えられる。B細胞とT細胞は、造血幹細胞より、Multipotent progenitor、Limphoid primed multipotent progenitor、Common lymphoid progenitorといった前駆細胞を経て分化する。転写抑制因子Bach1とBach2のダブルノックアウト(DD)マウスでは、B細胞の最も幼若な分化段階のpro-B細胞から減少する。従ってBach因子は極初期のB細胞分化調節に関与する可能性があった。そこで本研究では、DDマウスのB細胞での表現型を解析し、Bach1 Bach2の両欠損に起因するB細胞障害の程度を詳細に調べた。初めに細胞増殖障害の可能性を検討した。DDマウスへBrdUを腹腔投与し、B細胞への取り込み率を野生型マウスと比較したが、差異は無かった。また、抗体遺伝子再構成の障害により初期分化で停止する可能性をPCR法で検討した。しかしながら、野生型B細胞と差異を認めなかった。さらに、B細胞の分化に必須の遺伝子に発現に異常がある可能性を考え、DNAマイクロアレイおよび定量PCRで検討したが、E2A、EBF、Pax5などのB細胞初期分化に必須の遺伝子発現に差異は無かった。従ってB細胞分化は正常である可能性が高い。そこで、リンパ球系の前駆細胞が減少する可能性を検討した。すると、DDマウスの骨髄では、リンパ球共前駆細胞の数が、野生型マウスに比べて半減していた。これらの異常は、Bach2やBach1単独ノックアウトマウスでは見られない。従って、Bach因子は互いに補いながらリンパ球前駆細胞の分化から調節しる可能性を見いだした。今後T細胞への分化障害の有無を検討することにより、Bach因子の免疫細胞分化を調節する機構を更に解明できる可能性がある。
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Research Products
(2 results)