2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規リゾリン脂質アシル転移酵素の生化学的、生物学的解析
Project/Area Number |
21790264
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
進藤 英雄 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (10401027)
|
Keywords | 生化学 / リン脂質 / 生体膜 / アシル転移酵素 / 血小板活性化因子 |
Research Abstract |
生体膜グリセロリン脂質を生合成するリゾリン脂質アシル転移酵素をターゲットとして研究を進めている。本年度は主に3つの成果を報告した。 1.新規にリゾホスファチジン酸アシル転移酵素3(LPAAT3)を同定した。LPAAT3は精巣に発現し、週齢依存的に上昇した。また、アラキドン酸をリン脂質に貯蔵する活性が強かった。 2.肺に発現し、呼吸に必須な肺サーファクタント脂質を合成するリゾホスファチジルコリンアシル転移酵素1(LPCAT1)の解析を行った。肺サーファクタントは肺胞の表面張力を下げる。その約80%がリン脂質であり、主にsn-1位もsn-2位も飽和脂肪酸であるdi-saturated PC(DSPC)からなる。マウスLPCAT1は生化学的な解析からDSPCを合成することがわかっていた。さらに今回、ヒトLPCAT1もマウスと同様の活性を持つことがわかった。米国のグループからヒトLPCAT1はDSPCを合成できないという報告が出ていたが、酵素活性測定方法に問題が有り、我々はヒトLPCAT1もDSPCを合成できることを見つけた。さらに、遺伝子データーベースより、各動物種のLPCAT1を調べると、肺又はその相同器官を持つ生き物にはLPCAT1が存在することがわかった。肺とLPCAT1は呼吸機能を獲得するために、同じように進化してきたと推測できた。 3.リゾリン脂質アシル転移酵素の新規ファミリーであるmembrane bound o-acyltransferase(MBOAT)ファミリーを既に報告している。しかし、これまで酵素活性に必要なMBOATモチーフの情報は少なかった。我々は詳細な点変異解析を行い、MBOATモチーフA-Dを見つけた。これらの情報は酵素活性メカニズムの解明につながり、阻害剤の開発へ有効な情報となる。そこから、生体膜リン脂質生合成メカニズムの解明へと発展させられる。
|
Research Products
(12 results)