2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790267
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 毅 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点助教 (10452442)
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Keywords | 上皮細胞 / dermokine / 早期癌 / 分泌蛋白質 / ノックアウトマウス / アイソフォーム / 皮膚 / 重層扁平上皮組織 |
Research Abstract |
悪性腫瘍の9割は上皮組織に由来する。すなわち上皮細胞形成・維持機構の研究は、癌化の分子機構解析にも結びつくものである。本研究では、癌化の初期における上皮多層化現象が、重層上皮組織(皮膚表皮等)形成の分子機構と類似している点に着目し、両現象に共通に発現する「機能未知重層上皮特異的分泌蛋白質Dermokine」「重層上皮特異的蛋白質分解酵素SASPase」の重層上皮組織と癌細胞における生理機能の解明を行う。それら両側面から得られた知見を統合する事により、癌に対する新規早期診断薬・新規創薬標的の同定へと結びつける。 本年度は、Dermokineノックアウトマウスとヘアレスマウスとの戻し交配を行い解析を行った。形態学的解析や表皮分化マーカー解析、角質層水分量、水分蒸散量解析には大きな変化は認められなかったが、皮膚表皮の角質層に何らかの構造や強度の異常が認められた。この事はDermokineが分泌蛋白質でありながらも何らかの構造蛋白質としての機能を持ち、角質層の質的変化に関わっている可能性が考えられる。また新たな重層上皮特異的分子であり、かつ消化器癌に発現する分子として、蛋白質分解酵素SASPaseの機能解析を行った。SASPase欠損ヘアレスマウスは、乾燥肌を呈する事が明らかとなっていたが、詳細な解析の結果、アトピー性皮膚炎の最大の疾患素因遺伝子であるProfilaggrinの分解異常が起こっている事が明らかになった(Matsui et al., EMBE Mol.Med.2011)。また加in vitroでは、Profilaggrinのリンカー配列を切断する事も明らかとなり、Profilaggrin分解の律速段階を調節する酵素であると考えられた。一方でSASPaseは、APCmin/+マウスの大腸癌ポリープに強く転写されている事が明らかとなり、大腸癌組織のどのステージでどのような細胞層において発現しているのかを解析する条件を設定した。引き続き、重層上皮と癌化のシグナルの同一性とその役割について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Dermokineノックアウトマウスとヘアレスマウスの戻し交配に関しては、ほぼ終了し、実際の解析を開始する事ができた。形態学的解析や分化マーカー解析、皮膚表皮の生理学的解析は、Preliminaryな解析は終了する事ができ、統計的解析を次年度に行う。SASPaseの機能解析は、ノックアウトマウスが確かに乾燥肌となる事を生理学的に証明し、Profilaggrin分解異常となっている結果を学術雑誌に投稿していたが、受理された(Matsui et al., EMBE Mol.Med.2011)。またAPCmin/+マウスの大腸癌組織で転写が強く誘導されている事も明らかにする事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Dermokineはヒト早期大腸癌においては、転写レベル・蛋白質レベルで高く発現し、血清中にも検出されていたが、早期大腸癌モデルマウスであるAPCmin/+マウスにおいては、転写レベルでは正常部位よりもやや発現しているものの、蛋白質レベルで検出できる程の発現は認められなかった.従って、Demorkineのマウス消化器癌における解析は中止し皮膚表皮における生理機能解析を行い、ヒト早期癌における発現との相関性及び生理的意義を検討する事とする。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] SASPase regulates stratum corneum hydration through profilaggrin-to-filaggrin processing2011
Author(s)
Matsui T, Miyamoto K, Kubo A, Kawasaki H, Ebihara T, Hata K, Tanahashi S, Ichinose S, Imoto I, Inazawa J, Kudoh J, Amagai M
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Journal Title
EMBO Mol. Med
Volume: 3
Pages: 320-333
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] SASPase regulates stratum corneum hydration through profilaggrin-to-filaggrin processing2011
Author(s)
Matsui T, Miyamoto K, Kubo A, Kawasaki H, Ebihara T, Hata K, Tanahashi S, Ichinose S, Imoto I, Inazawa J, Kudoh J, Amagai M
Organizer
Heidelberg-Kyoto Joint Symposium "Crossing Boundaries : Stem Cells, Materials, and Mesoscopic Sciences"
Place of Presentation
DFKZ, Heidelberg University, Germany
Year and Date
2011-07-21
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[Presentation] SASPase regulates stratum corneum hydration through profilaggrin-to-filaggrin processing2011
Author(s)
Matsui T, Miyamoto K, Kubo A, Kawasaki H, Ebihara T, Hata K, Tanahashi S, Ichinose S, Imoto I, Inazawa J, Kudoh J, Amagai M
Organizer
Epithelial Differentiation & Keratinization Gordon Research Conference
Place of Presentation
Mount Snow Resort, USA
Year and Date
2011-07-05
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