2009 Fiscal Year Annual Research Report
生細胞イメージングとシステム生物学によるERKリン酸化過程の統合的理解
Project/Area Number |
21790273
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 一洋 Kyoto University, 大学院・生命科学研究科, 助教 (80511427)
|
Keywords | シグナル伝達 / システム生物学 / FRET / イメージング / 癌 |
Research Abstract |
ERK応答は段階的応答(graded response)であること、リン酸化様式は一連反応モデル(processive model)に従うことを示すこと、を目的として研究を行った。ERKはMEKによってチロシン残基とスレオニン残基の2つがリン酸化されることによって活性化する。ERKは4つのリン酸化状態(non-p, pY, pT, pTpY)を持つ。これらの4つのリン酸化アイソフォームをリン酸化アミノ酸に親和性のあるキレーター「phostag」を利用したウェスタンブロットにより分離できることが分かった。このシステムを用いて、in vitroでERKのリン酸化様式を検討したところ、これまでの報告どおり、分配的モデル(distributive model)に従ったリン酸化様式を示した。しかしながら、培養細胞内におけるERKのリン酸化様式を検討したところ、一連反応モデルに従ったリン酸化様式を強く示唆する結果を得た。コンピューターシミュレーションによる予測と阻害薬を用いた実証により、培養細胞内ではERKは一連反応モデルに従ったリン酸化様式によりリン酸化されることが明らかになった。また、一連反応モデルでは、ERKのリン酸化は段階的応答を示すことがコンピューターシミュレーションにより予測され、培養細胞を用いた実験からもそれを指示する結果を得ることが出来た。さらに生きた細胞内でリン酸化反応を可視化するために、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の原理に基づくバイオセンサーの開発も行った。現在、蛍光タンパク質の種類やリン酸化アミノ酸結合ドメインなどの条件を検討中である。
|