2009 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌幹細胞の自己複製、細胞周期調節機構の解明と、癌幹細胞標的療法の開発
Project/Area Number |
21790274
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原口 直紹 Osaka University, 医学部附属病院, 助教 (30528609)
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Keywords | 肝臓癌 / 大腸癌 / 癌幹細胞 / 癌幹細胞標的療法 |
Research Abstract |
研究内容: GO期に存在する癌幹細胞を同定し、癌幹細胞の維持機構を明らかにすることにより、癌幹細胞を標的とした、癌の根治的な治療法の開発を行う。 意義と重要性: 癌幹細胞は、癌の自己複製能と分化能を有し、抗癌剤や放射線耐性を有し、癌の再発に直結する細胞である。そのため、癌幹細胞を標的とすることが癌の根治に直結すると考えられる。 研究成果:side population(SP)分画の遺伝子解析結果を基に、47の候補となる細胞表面マーカーを選び、SP分画、かつGO期に限局して発現する細胞表面マーカーの絞り込みを行い、CD13を同定した。CD13陽性細胞は、高い造腫瘍能と、抗癌剤、放射線に高い耐性を有することが示された。CD13陽性細胞は細胞周期が非常に遅いsemi-quiescentな細胞集団であり、CD13の中和もしくは抑制により高度の癌細胞の増殖抑制が引き起こされることを明らかにした。Reactive Oxygen Species(ROS)およびROSの排泄経路の検討を行ったところ、CD13陽性細胞は特徴的にROSが低く、CD13がROSの排泄経路の酵素として働いていることが示された。マウス異種移植における検討では、5-FU、Ubenimexそれぞれの単剤投与よりも、併用投与において高い腫瘍治療効果を認めた。また、serial transplantationの結果、Ubenimexにより、癌幹細胞の自己複製が障害され、腫瘍形成が障害されることが示された。ROS排泄経路が癌幹細胞の維持に重要な役割を果たすことが明らかとなり、CD13抑制に加えて、ROSを上昇させる抗癌剤を併用することにより、癌幹細胞を標的とした治療法が可能になると考えられた。
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Research Products
(4 results)