2010 Fiscal Year Annual Research Report
PIP3ホスファターゼSKIPによるインスリン感受性制御機構の解析
Project/Area Number |
21790276
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊集院 壮 神戸大学, 医学研究科, 助教 (00361626)
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Keywords | SKIP / インスリン / 骨格筋 / 糖代謝 / PIP3 |
Research Abstract |
ホスファチジルイノシトール3リン酸(PIP3)は、増殖因子やインスリン刺激依存的に産生されるイノシトールリン脂質であり、AktやPDK1などの脂質結合分子と結合することで、その活性を調節している。PIP3ホスファターゼSKIPはPIP3を脱リン酸化することによってインスリンシグナルを終結させる分子である。本研究ではSKIPによるインスリンシグナル特異的な制御機構を明らかにする目的で、SKIPのインスリンシグナル制御機構の解析を行った。その結果、1)SKIPの発現抑制によって骨格筋でインスリンシグナルが亢進していること。2)SKIPヘテロノックアウトマウスで全身の糖代謝が上昇していることが明らかとなった。この結果は、SKIPが恒常的に骨格筋細胞のインスリンシグナルを制御していることを示唆している。これは他のPIP3ホスファターゼのノックアウトマウスでは認められない結果である。 筋芽細胞でSKIPの発現をRNAiによって抑制すると、インスリン刺激依存的な細胞内PIP3量やAkt2のリン酸化の上昇、細胞外からの糖取り込みの促進が起こったが、これは他のPIP3ホスファターゼの発現抑制では認められなかった。また、細胞内の局在を観察したところ、インスリン刺激依存的に小胞体から細胞膜に移行し、Akt2やGLUT4共局在することが明らかになった。これはSKIPが時間的、空間的な制御を受けていることを表している。その時空間制御の最近の知見を発表する。 以上の結果は、SKIPが骨格筋細胞におけるインスリン依存的な糖代謝を制御するPIP3ホスファターゼであり、糖尿病に対する新しい薬物ターゲットとなる可能性を示すものである。
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