2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病でのインスリン受容体細胞外ドメイン切断の分子メカニズムとその生理的意義
Project/Area Number |
21790279
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長屋 寿雄 The University of Tokushima, 疾患酵素学研究センター, 助教 (60464343)
|
Keywords | インスリン受容体 / ELISA / MMP |
Research Abstract |
申請者のグループは可溶性インスリン受容体細胞外ドメイン(sIR)が糖尿病患者の血中において上昇することを発見した。この分子メカニズムを解明するために、培養細胞を使い、その分子メカニズムの解明を行った。申請者はこれまでにもELISAを用いてsIR放出メカニズムの解析を行ってきたが、培養細胞から放出されるsIRはELISAの検出限界濃度とほとんど変わらず、正確な解析ができなかった。そこで同じ抗体を用いているにもかかわらず100-1000倍程度に超高感度化するICT-EIAという方法論を用いて、培養細胞におけるsIR放出の解析を行った。NIH3T3細胞(マウス線維芽細胞)にヒトインスリン受容体を発現させ、その細胞からのsIRの遊離を調べたところ、解析に十分な量のsIRが放出されていることを確認した。同細胞を用いて、sIR放出におけるMMPの阻害剤に対する感受性を調べたところ、複数種のMMP阻害剤の添加により、培地中に放出されるsIRが有意に減少していることを確認した。このことから培養細胞からのsIR放出にはMMPが関与している可能性が考えられた。これまでにもMMPが細胞からの受容体の放出に関与しているという報告があり、インスリン受容体の場合も短時間で阻害効果が現れているので、MMPがインスリン受容体を切断していると考えることができる。このような研究により、具体的にどのMMPがインスリン受容体に関与しているのかについて研究を進めることが可能となった。
|