2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病でのインスリン受容体細胞外ドメイン切断の分子メカニズムとその生理的意義
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21790279
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長屋 寿雄 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (60464343)
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Keywords | インスリン受容体 / ELISA / MMP |
Research Abstract |
申請者のグループは可溶性インスリン受容体細胞外ドメイン(sIR)が糖尿病患者の血中において上昇することを発見した。この分子メカニズムを解明するために、培養細胞を使い、その分子メカニズムの解明を行った。申請者はこれまでにもELISAを用いてsIR放出メカニズムの解析を行ってきたが、培養細胞から放出されるsIRはELISAの検出限界濃度とほとんど変わらず、正確な解析ができなかった。そこで同じ抗体を用いているにもかかわらず100-1000倍程度に超高感度化するICT-EIAという方法論を用いて、培養細胞におけるsIR放出の解析を行った。 昨年度は、ヒトインスリン受容体(hIR)過剰発現した培養細胞株を用いて解析を行ったが、本年度はヒト培養細胞株を用いて解析を行なった。複数のヒト由来培養細胞株を調べた結果、hIRは全ての細胞株にて発現が確認されたが、ある特定の培養細胞株でのみsIRが放出することを確認した。その後、その細胞を用いてグルコース感受性を調べたところ、高血糖にてsIR放出が促進されることを観察した。驚いたことに、MMP阻害剤によりその放出は濃度依存的に促進されること、また、MMP活性化剤においては逆にその放出は阻害されることを観察した。この現象は、昨年度に報告したhIR過剰発現培養細胞株とは異なっている。そこで、ヒト培養細胞株では、MMPは関与が示唆されるが、それはhIR過剰発現培養細胞株とは異なり、間接的な関与であること、また、その関与も逆の作用であることを示している。
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