2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の腫瘍化及びウイルス増殖に関与する非翻訳RNAの産生調節機構の解明
Project/Area Number |
21790280
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
坂本 修士 Kochi University, 教育研究部・医療学系, 助教 (80397546)
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Keywords | 核酸 / 癌 / マイクロRNA / ミトコンドリア / 筋組織 |
Research Abstract |
1.我々はこれまでに、核局在性の二本鎖RNA結合蛋白質であるNF90とNF45の複合体が、マイクロRNA(miRNA)の生合成経路において負に作用することを見出した(MCB2009(13)3754-69)。一方、様々な癌で多くのmiRNAの発現が低下しており、そのようなmiRNAの中に通常は癌抑制因子として機能するものが含まれる。しかしながら、癌抑制miRNAの発現低下のメカニズムは不明な点が多い。NF90-NF45はmiRNA産生を負に制御すると同時に、肝細胞癌や非小細胞肺癌の癌部で発現が高く、肝細胞癌、子宮頸癌、腎臓由来のセルラインの増殖を促進することが確認されている。従って我々は、NF90-NF45は癌抑制miRNAの産生を抑制することで腫瘍促進因子として機能するのではないかと想定し、以下の解析を行った。まず、NF90発現低下で産生が増加するmiRNAを網羅的に解析するために、NF90をノックダウンした肝癌細胞株Huh7を用い、miRNAアレイ解析を行った。その結果、シグナル強度が高く、コントロールと比較し2倍以上のシグナル増加が確認されたmiRNAは16種類であった。その中でもmiR-629*とmiR-7の増加は顕著であった。特にmiR-7は上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とする癌抑制miRNAのひとつとして知られている。そこで現在は、IF90-NF45とmiR-7産生との関連性について解析を進めている。 2.NF90-NF45は、miRNAの機能を通じ様々な生体制御の調節に関与すると想定される。そこで、このことを生体内で検証するために、NF90-NF45を過剰発現したマウス(Tgマウス)の作出を試みている。それに先立ちNF90、NF45各々のTgマウスは既に作成した。現在はこのTgマウス同士を掛け合わせ、NF90-NF45Tgマウスの作出を試みている。それと同時に、NF90Tgマウスの表現型に関して解析を行い、興味深いことが明らかとなってきた。このTgマウスは体が小さく、その要因が心筋や骨格筋におけるミトコンドリアの形態異常を伴う筋組織の発達障害であることがわかった。現在は、NF90による筋組織の発達異常のメカニズムを、ミトコンドリア障害と筋分化の異常の2つの観点から解明を試みている。
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Research Products
(3 results)