2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790281
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
濱田 浩一 熊本大学, エイズ学研究センター, 特定事業研究員 (00343070)
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Keywords | 細胞増殖 / 細胞死 / セリンプロテアーゼ / 炎症 |
Research Abstract |
自然免疫反応は病原体防御のために必要不可欠な反応であるが、過剰な生体反応は無秩序なサイトカイン産生を誘発し、その結果細菌感染に伴う全身性炎症反応症候群(SIRS)の悪化を引き起こすことが知られている。全身性炎症反応症候群での中心的なメディエーターとしてTNFαを介したシグナル伝達経路が注目されている。TNFαは細胞膜タンパク質として産生されたのち、膜結合型メタロプロテアーゼであるTACE (TNFα converting enzyme)により限定分解をうけ細胞膜から切り離されることにより可溶型の活性化分子として細胞外に放出される。一方、TNFαシグナルは多くの炎症性疾患に関与することが知られているが、TNFαシグナルの制御に関しては、まだ十分に理解されていないのが現状である。そこで我々は、TNFαによる細胞死に耐性を示す新規分子のスクリーニングをサイクリックパッケージングレスキュース法にて行い、細胞膜内プロテアーゼ・ロンボイドファミリー遺伝子の1つであるRHBDF2を同定した。さらにRHBDF2の過剰発現細胞およびRHBDF2の欠損マウスを作製したところ、RHBDF2はTACEと相互作用することでTNFαの切断を制御する分子であることを見出した。またRHBDF2欠損マウスではLPSによる刺激後、血清中のTNFα濃度の低下が観察され、致死量のLPS投与に対して抵抗性を示した。さらにRHBDF2欠損マウスは細胞内寄生性リステリアに対して免疫応答性の低下を示した。以上の結果よりRHBDF2はTNFαシグナル制御を介した新規の自然免疫反応分子として重要な役割を果たしていると考えられる。これらの研究成果は、現在論文投稿中である。
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