2010 Fiscal Year Annual Research Report
殺菌に重要な食細胞NADPHオキシダーゼを構成する膜蛋白質間の相互作用機構の解明
Project/Area Number |
21790283
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮野 佳 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (60444783)
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Keywords | NADPHオキシダーゼ / 活性酸素 / Nox2/gp91^<phox> / 膜タンパク質 / Rac |
Research Abstract |
食細胞NADPHオキシダーゼは、細胞刺激に応じて殺菌に必要なスーパーオキシドO_2^-)を生成し、それから派生する様々な活性酸素種が強力な殺菌剤として機能することで、生体防御上重要な役割を果たしている。オキシダーゼの重要性は、酵素本体であるgp91^<phox>のアミノ酸置換により引き起こされる慢性肉芽腫症.(幼少期より重篤な感染症を繰り返す遺伝疾患)により示される。gp91^<phox>は、細胞質に存在する活性化タンパク質(p67^<phox>とp47^<phox>)および低分子量Gタンパク質Racにより活性化される。私は、p67^<phox>のTPRドメイン(Racが結合する)のC末端側に存在する進化的に保存されている領域が、gp91^<phox>の活性化に関わっていることを見い出した。この領域の中でも特に198番目のトリプシン残基、199番目のロイシン残基、204番目のバリン残基は、gp91^<phox>を活性に重要なアミノ酸残基であった。また、この領域がgp91^<phox>のC末細胞質領域に存在するNADPH結合ドメインに直接結合することでgp91^<phox>を活性化することを示した。さらに私は、活性化タンパク質がgp91^<phox>の膜貫通領域または細胞質領域のどちらに作用しているかを検討した。gp91^<phox>のホモログであるNox4は活性化タンパク質に非依存で活性酸素を生成する。Nox4のC末端領域(細胞質領域)をgp91^<phox>と入れ換えたキメラタンパク質はp47^<phox>とp67^<phox>によって活性化された。一方、gp91^<phox>の細胞質領域をNox4と入れ換えたキメラタンパク質は、Nox4と同様に活性化タンパク質を必要とせず恒常的なO_2^-生成活性を示した。以上の結果から、活性化タンパク質はgp91^<phox>の細胞質領域に作用していると考えられた。
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