2010 Fiscal Year Annual Research Report
発毛環境創生におけるホスホリパーゼCデルタ1の役割解析
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21790292
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
中村 由和 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (60366416)
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Keywords | 毛形成 / ホスホリパーゼC / FOXN1 / Notch |
Research Abstract |
毛髪を形成する細胞は、自身および周囲の細胞から放出された発毛促進因子を受容し、細胞内シグナル伝達経路を介して毛の形成を行っている。FOXN1は毛形成に不可欠な転写因子であり、発毛促進因子を受容した細胞で発現誘導を受けることも報告されている。申請者らはイノシトールリン脂質代謝系の要となる酵素であるホスホリパーゼC(PLC)の一つであるPLCδ1がFOXN1により発現誘導を受け、FOXN1依存的な毛形成に必須の役割を担っていることを明らかにしていた。FOXN1は主に皮膚、胸腺に発現するといった非常に限局した組織分布様式を示すのに対し、PLCδ1は全身の広い組織に分布するため、PLCδ1はFOXN1以外の機構によっても発現制御を受けているものと考えられる。平成21年度の研究によりPLCδ1遺伝子欠損(KO)マウスの皮膚や毛包において、毛の形成に重要な役割を担う因子であるNotch1の発現が低下していることが判明していたが、FOXN1下流におけるPLCδ1の発現が皮膚におけるNotch1の発現を制御しているのかどうかは不明であった。そこで、平成22年度の研究では、FOXN1プロモーター下流にてPLCδ1を発現するようなPLCδ1KOマウスの皮膚におけるNotch1の発現を調べたところ、これらのマウスの皮膚ではNotch1の発現が野生型マウスと同程度まで回復していることが確認された。このことから、PLCδ1はFOXN1下流にてNotch1の発現を調節することにより毛の形成を制御していることが強く示唆された。
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Research Products
(5 results)