2011 Fiscal Year Annual Research Report
小脳顆粒細胞を用いた細胞膜電位変化による神経発生・成熟調節の分子メカニズム
Project/Area Number |
21790294
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Research Institution | 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所 |
Principal Investigator |
岡澤 慎 財団法人 大阪バイオサイエンス研究所, システムズ生物学部門, 研究員 (40414130)
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Keywords | 神経成熟 / 小脳顆粒細胞 / 静止膜電位 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
神経発生・成熟期における電気的性質はダイナミックに変化する。しかしながら、電気的性質変化の神経回路形成に果たす役割は不明な点が多い。本研究は、細胞膜の電位変化が神経発生・成熟を調節するメカニズムを明らかにすることが目的である。これまで小脳顆粒細胞の初代培養系、及び小脳スライス器官培養系を用いたパッチクランプ法による全細胞記録の結果、神経成熟期の静止膜電位の脱分極側から過分極側への移行に伴い神経活動が誘発されることを明らかにしてきた。このことから、膜電位の過分極側への移行により活動電位が誘発されることが神経の成熟に重要であると考えられた。本年度は、Fura-2を用いた細胞内カルシウム濃度測定により、神経成熟期、シナプス伝達依存的、活動電位依存的に細胞内カルシウム上昇が誘発されることを明らかにした。また、定量的RT-PCR法を用いた結果から、以下のどの条件、即ち、薬理学的にグルタミン酸受容体を阻害した場合にも、フグ毒により活動電位を阻害した場合にも、電位依存性カルシウムチャネルを阻害した場合にも成熟遺伝子(GABAAa6,NR2C,Kv1.1等)の発現誘導が抑制されることが明らかになった。siRNAノックダウン実験の結果から、この神経活動はNav1.2イオンチャネルによって引き起こされることを明らかにした。また、活動電位依存的なカルシウムシグナルの下流に転写因子Etv1の発現誘導が位置することを明らかにした。さらに、転写因子Etv1のノックダウン実験では成熟遺伝子の発現誘導が抑制されたことから、転写因子Etv1が成熟遺伝子の発現誘導に必須であることを明らかにした。
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