2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790295
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
大森 義裕 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 発生生物学部門, 研究副部長 (90469651)
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Keywords | 網膜 / 神経細胞 / 繊毛 / ゼブラフィッシュ / 細胞死 / 視細胞 / 網膜色素変性症 / 疾患モデルマウス |
Research Abstract |
平成22年度は、4系統の新規なゼブラフィッシュのオプシン輸送変異体(GEP226,263,305,360)のうち、IFT122変異体であることが明らかとなったGEP263の解析を重点的に進めた。免疫染色法を用いた経時的な観察により、IFT122変異体では、生後3日までに、視細胞はほぼ正常に分化するが、その後、視細胞の外節にオプシンが正常に輸送されず、IFT複合体Bの構成要素であるIFT88が繊毛に蓄積することを見出した。そのことが引き金となり、視細胞死を引き起こすことが、予想され、IFT複合体Aがオプシンの輸送に重要であることが明らかとなった。また、変異マウスを用いた解析では、視細胞分化に必須の転写因子Otx2の条件付き欠損マウス網膜を用いたマイクロアレイ解析を行い、Q-PCRによる一連の発現解析を行った(omori et al., Plos One 2011)。この解析から機能未知キナーゼMakが視細胞特異的な発現を示すことを見出した。Mak欠損マウスでは、オプシンの輸送に異常をきたし、ヒトにおける網膜色素変性症の病態と類似した視細胞の経時的な脱落が見られた。Mak欠損マウスは繊毛の長さ制御に異常を示すことを見出した(Omori et al., PNAS 2010)。また、本研究と関連して、視細胞リボンシナプスの形成に重要な細胞外マトリクスタンパク質ピカチュリンが糖鎖修飾を受けてジストログリカンと結合する分子メカニズムを明らかにした(Kanagawa, Omori et al., JBC 2010)。これらの研究から、視細胞において繊毛を介したオプシンの輸送機構にIFT複合体AとBが協調的に関与し、繊毛キナーゼであるMakがその機構に重要な役割を果たすことが明らかとなった。これらの知見は、網膜色素変性症の発症メカニズム解明に貢献したと考えられる。
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Research Products
(9 results)