2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790298
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
沼野 利佳 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 特任准教授 (30462716)
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Keywords | 概日リズム / トランスジェニックマウス / 視交叉上核 / 細胞分裂 / 発生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、哺乳類概日リズムの中枢である視交叉上核(SCN)において、約24時間の自律的な周期リズムの発振が発生段階のいつ確立するかを、SCNスライスを顕微鏡下で培養しながらimagingにより、神経細胞の分化する様子も観察する。また、環境変化などの外界の刺激で、胎児や乳児の概日リズムの確立する時期や位相変化の機能が、どのような影響を受けるかを調べる。具体的内容は、細胞周期、G1期の細胞を榿色蛍光蛋白で、S-G2-M期の細胞を緑蛋白蛍光で標識し、2色シグナル比率変化で観察できるFucciTgマウスと、概日リズムの進行を時計遺伝子Per1の発現振動のリポーターである蛍の発光シグナルで可視化できるper1:1ucマウスのSCNスライス培養を用いて、SCNの発生・分化と概日リズムを異なる発生ステージで観察した。また、母への影響が、子供のSCNの発生・分化に影響するかを、妊娠中の母マウスをmatingペアと異なる雄とともに飼育し、個別飼育の母マウスの子供マウスと発生を比較する実験を行なった。SCN神経細胞は、生後1,3,8日後、成体と、発生が進行につれ、S-G2-M期細胞に対してG1、G0期細胞の割合が増える。Dorso Medial (DM)はリズムペースメーカーで、Ventrol ateral (VL)は外界の刺激に対して位相をリセットする機構を担うと考えられているが、DMのほうがVLに比べて分化が早い。また、per1:1uc TgマウスのSCNの細胞が分化進行中である生後1日後では、成体のリズムと比べでDM,VLともに振幅が小さく、強いリズムは確立していない。さらに、母マウスをmatingしたほかの雄マウスと飼育すると、その子供mouseの生後1日目のVLでは、わずかであるがS-G2-M期の細胞の割合が多く影響を受けていた。SCNの細胞分化や概日リズム確立には、早い発生段階で異常な刺激をうけると、SCNのVLの発達に影響を及ぼす可能性が示唆された。本研究は、発生初期の個体のリズムを健全な状態に保つために、妊娠中の母への異常な刺激を避けることの重要性を示唆したという点で、意義を持つ。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article]2011
Author(s)
Nakane A, Numano R, Takagi Y, Yamaguchi A, Iimura T
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Journal Title
骨形態計測学会雑誌
Volume: 21
Pages: 41-50
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