2009 Fiscal Year Annual Research Report
老人性神経変性疾患原因遺伝子群に対する多面的スクリーニング法の確立
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21790302
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今居 譲 Tohoku University, 加齢医学研究所, 准教授 (30321730)
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Keywords | パーキンソン病 / LRRK2 / PINK1 / Parkin / 神経変性疾患 / ドパミン神経 / ショウジョウバエ / ミトコンドリア |
Research Abstract |
ヒト培養細胞から生化学的に精製し、質量分析解析により同定したパーキンソン病原因遺伝子産物LRRK2、PINK1結合分子群のスクリーニングを、本年度は遺伝性パーキンソン病モデルショウジョウバエおよび培養細胞を用いて行った。 LRRK2に特異的に結合し、そのシグナル伝達に直接関与すると考えられる2つの分子をスクリーニングにより同定した。これらの分子は、エンドソームの小胞輸送を制御するRab7と遺伝的相互作用をもち、LRRK2とともにエンドソームの機能を調節していると考えられた。さらに、ショウジョウバエにおいて別のパーキンソン病原因遺伝子α-synucleinもエンドソームの機能を阻害することから、LRRK2,α-synucleinが共通の病理経路で働いている可能性が考えられた。本研究により、ショウジョウバエの羽を可視化表現型として、一般的なパーキンソン病発症の根幹をなすと考えられるLRRK2、α-Synucleinシグナル伝達に関与する分子のスクリーニングを迅速に行う系を開発した。このスクリーニング系は、関与する遺伝子群のスクリーニングのみならず、次世代パーキンソン病治療薬、予防薬のスクリーニングにも応用できると期待できる。 PINK1結合分子群も同様に、モデルショウジョウバエ(PINK1 RNAiあるいはPINK1ノックアウト系統)を用いて、その表現型を修飾する分子をスクリーニングした。その結果、PINK1の機能喪失により認められる筋肉のミトコンドリアの変性を抑制する分子PGAM5を同定することに成功した。 PINK1ノックアウトショウジョウバエからPGAM5の遺伝子を喪失させると、PINK1変異より起こるミトコンドリアの変性が抑制される。一方、ショウジョウバエ遺伝学によってPINK1の下流に位置することが示唆されているparkinノックアウトショウジョウバエの表現型は抑制しなかった。以上の遺伝学的解析により、PGAM5は、PINK1とParkinの間を介する分子か、PINK1シグナルの下流でParkinとは独立に働く分子であることが示唆された。
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