2010 Fiscal Year Annual Research Report
SWI/SNF複合体の異常による発癌機構の解析、胃癌・消化管分化への影響の解明
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21790306
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山道 信毅 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30463897)
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Keywords | 胃癌 / 消化管分化 / 腸上皮化生 / Brm / SWI/SNF複合体 / Cathepsin E / エピジェネティクス |
Research Abstract |
SWI/SNF複合体の制御下にあるvillin遺伝子の発現制御解析を完了し、英文誌に報告した(Exp Cell Res.2009;315:1779-1789.)後、胃癌組織型と関連する遺伝子のスクリーニングにて、胃癌組織型ならびに消化管分化と関与している可能性の高いCathepsin E(CTSE)遺伝子を発見した。CTSE遺伝子の上流域を抽出し、レポーターアッセイを用いたプロモーター領域の解析を行ない、CTSE発現に重要な領域を同定した。この配列中には消化管分化に重要とされる転写因子Cdx2の結合部位が含まれており、Cdx2がCTSE遺伝子の発現制御に関わっている可能性が示唆されたため、トランスフェクションによるCdx2の強制発現を行なったところ、CTSE発現が上昇することが確認された。ただ、この効果は非常に弱く、CTSEを発現するレトロウイルスベクターでは再現できなかった。より強くCTSE発現を制御する転写因子が存在すると考えられ、現在、探索中である。また、様々な組織型の進行胃癌(tub1、tub2、por、sig、muc、pap)の外科手術病理検体を使用し、正常胃粘膜・腸上皮化生ととものCTSE免疫染色を行なったところ、未分化型胃癌の一部においてCTSEの重要なマーカーとなる可能性が強く示唆される結果が得られた。 現在、胃癌発症のより初期段階におけるvillin遺伝子ならびにCTSE遺伝子の発現を解析するために、内視鏡的粘膜切除術(EMR=endoscopic mucosal resection)・内視鏡的粘膜切開剥離術(ESD=endoscopic submucosal resection)で治療された早期胃癌の病理検体を使用した免疫染色を開始したところである。この解析により、分化型・未分化型癌の分岐点を明らかにすることを次の目標としている。
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