2009 Fiscal Year Annual Research Report
Ig様接着分子CADM1による細胞間接着と浸潤における動態と下流分子経路の解明
Project/Area Number |
21790309
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 美佳 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80508359)
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Keywords | CADM1 / 細胞間接着 / 細胞浸潤 / ダイナミクス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1)上皮細胞の接着形成・維持におけるCADM1の動態と下流分子経路の解明 CADM1の接着の下流で特異的に活性化されるシグナル伝達経路を明らかにするために、我々の研究室で確立したcell spreading法を用いて、CADM1によるホモフィリックな接着を特異的に阻害する低分子化合物のスクリーニングを行った。その結果、PI3キナーゼ阻害剤によりcell spreadingが有意に抑制されることを見出した。さらに、このときPI3キナーゼの下流分子であるAktが活性化されていること、およびGFP-Akt-PHがspreadした細胞の辺縁部に局在することが示され、CADM1のシグナル伝達の下流経路の一つでPI3キナーゼが活性化されることが明らかになった。このことからCADM1による細胞間接着形成・維持にPI3キナーゼが重要であることが示唆された。 2)ATL細胞の浸潤におけるCADM1の動態と下流分子経路の解明 CADM1を高発現しかつ浸潤性を示すATLなどのがん細胞を細胞外基質上で培養し、浸潤突起(invadopodia)におけるCADM1の局在を観察したところ、CADM1の浸潤突起の先端部への蓄積は見られなかった。一方で、CADM1をほとんど発現しない血管内皮細胞(HUVEC)上にATL細胞を培養する血管浸潤モデルにおいて、ATL細胞は内皮細胞を通過する浸潤性を示したが、このとき2つの細胞の接着面にCADM1の蓄積が見られた。このことからATL細胞に発現するCADM1は細胞外基質とではなく、他の細胞との接着を通じて細胞浸潤に寄与することが示唆された。
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