2010 Fiscal Year Annual Research Report
Ig様接着分子CADM1による細胞間接着と浸潤における動態と下流分子経路の解明
Project/Area Number |
21790309
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 美佳 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80508359)
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Keywords | CADM1 / 細胞間接着 / 細胞浸潤 / ダイナミクス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1)上皮細胞の接着形成・維持におけるCADM1の動態と下流分子経路の解明 上皮細胞の接着維持におけるCADM1の動態を調べる目的で、FRAP(Fluorescence Recovery After Photobleaching)法を用いた解析を行った。その結果、細胞骨格の構成分子であるGFP-actinは数秒でそのほとんどが入れ替わるのに対して、CADM1-YFPはその約50%が数分のうちに入れ替わり、残りの分子は安定して接着面に局在することが示された。さらに細胞内領域のprotein 4.1およびMAGuKs結合領域に点変異を持つCADM1を用いて同様の解析を行ったところ、約80%の分子が数分のうちに入れ替わり、その動態が亢進していることが分かった。このことからCADM1の接着面における安定した局在に、細胞内領域の裏打ち蛋白質を介した細胞骨格への連結が必要であることが示唆された。またFLIP(Fluorescence Loss in Photobleaching)法を用いてCADM1の輸送路と考えられる領域においてCADM1-YFPを退色し続けた結果、CADM1は細胞内から接着面に移動するよりむしろ接着面内を主に移動することが示された。これらの結果から、安定した接着面においてもCADM1は常に動的であり、このことが接着の維持に重要である可能性が示唆された。 2)ATL細胞の浸潤におけるCADM1の動態と下流分子経路の解明 前年度の研究により、ATL細胞の血管内皮下浸潤において、CADM1がATL細胞の先端部に発現することが示された。そこでこの浸潤におけるCADM1の動態を調べるために、タイムラプス法によりATL細胞の浸潤を解析する系を確立した。その結果、炎症時の白血球の血管外流出の過程で見られる内皮細胞間通過経路(para-経路)に類似し、ATL細胞が内皮細胞間接着の間を通過し浸潤する様子が観察され、CADM1がこの機構に関与する可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)