2009 Fiscal Year Annual Research Report
がんの発生と染色体の不安定性におけるRaelの役割の解析
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21790313
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
WONG W.R Kanazawa University, フロンティアサイエンス機構, 特任准教授 (30464035)
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Keywords | 核膜孔複合体 / Rael / RNA輸送 / 染色体不安定性 / 乳癌 / トランスジェニックマウス / 染色体異数化 / 多極紡錘体 |
Research Abstract |
研究代表者は最近、核膜孔複合体タンパク質Raelの異常発現が、多くの癌で見いだされる染色体の異数化・多極紡錘体を引き起こすことを発見した。Raelは核膜孔複合体を構成する約30種類のタンパク質のうちの一つであり、RNAの核から細胞質への輸送に関与しており、さらには近年Raelが乳癌患者における最も決定的な危険因子のうちの一つであると報告され、Raelに対する注目が一段と高まった。本研究ではRaelの乳癌への関与を検討することによって、癌悪性化機構を解明することを目的としている。 計画1:GFP融合Rael発現トランスジェニックマウスを作製し、癌悪性化過程におけるRaelの役割を解析する。 1-1) Rael遺伝子導入マウスの作製:CWVプロモーターの下流にGFP融合Rael遺伝子を含むDNA断片を構築し、マウスに導入した。GFP特異的増幅プライマーを用いてgenomic PCRを行い、生まれたマウスからTgマウスをスクリーニングした。得られたRael Tgマウス株の主要な臓器を用いてウエスタンブロットを行い、GFP-Raelの発現を確認したところ、精巣でのみ顕著な発現が見られた。 1-2) Rael遺伝子導入マウスの解析:Rael Tgマウスの諸臓器・組織のパラフィン切片や凍結切片を作製し、HE染色法や免疫染色法で染色した標本サンプルを作製した。現在、癌悪性化への関与を組織学的に解析しているところである。 計画2:細胞分裂周期におけるRaelとの相互作用因子を同定・解析し、癌悪性化におけるこれらの相互作用の役割について解析する。 2-1) ヒト乳癌細胞MCF-7およびヒト子宮頸癌細胞HeLaを用いたRael安定発現細胞株の樹立:HAもしくはFLAGタグを付加したRael遺伝子導入後、G418選択培地によって選択して安定発現細胞株を得た。今後樹立した細胞株を用いて、免疫沈降反応による相互作用因子の単離を行っていく予定である。
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