2009 Fiscal Year Annual Research Report
内皮リパーゼを標的とした動脈硬化治療の新戦略ー新規モデルによる臨床への橋渡し研究
Project/Area Number |
21790314
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小池 智也 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (40432158)
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Keywords | 内皮リパーゼ / トランスジェニックウサギ / アンチセンス / HDL / 動脈硬化 |
Research Abstract |
内皮リパーゼ(EL)は、高比重リポ蛋白(HDL)代謝への関与から、HDLを上昇させる次世代の動脈硬化治療薬の優れたtargetとして注目されている。本研究では、ELの脂質代謝および動脈硬化に対する役割を、ヒトに類似した脂質代謝系を有するウサギモデルによって解明し、EL制御による新たな動脈硬化治療戦略を確立し、臨床応用への橋渡しを実現させる。平成21年度の研究では、まず、我々が同定したウサギELの臓器別発現分布について検討を行った。リパーゼファミリーの他の酵素(リポ蛋白リパーゼLPL、肝性トリグリセリドリパーゼHTGL)の発現分布と比較した結果、肝臓での発現はHTGLと共通していたものの、LPLとHTGLが発現していない副腎や精巣などにもELの発現が認められた。その発現分布はヒトのELとも類似していた。免疫染色並びに生体内EL活性阻害に用いる抗体作成を試み、現在までに、Western blottingに使用可能なウサギ由来抗ウサギEL抗体の作成に成功している。本年度中にEL活性を阻害する抗体が作成できなかったが、代替策として、米国ISIS社と共同で、ウサギEL発現を阻害しうるアンチセンスを複数合成し正常ウサギに投与したところ、1種類のアンチセンスにおいてELの発現阻害を示唆する結果が得られた。また、ELを過剰発現するトランスジェニック(Tg)ウサギ作製のための遺伝子コンストラクトを作成した。当初、ELが最初に発見された内皮細胞での発現コンストラクトを計画していたが、ウサギEL発現分布解析の結果から、肝臓のEL発現が優位に認められたため、肝臓特異的にELを発現できるapoEプロモーター/apoE liver element(LE6)を用いて、ウサギEL cDNAを組み込み、その作製に成功した。現在、EL Tgウサギを作製すべく、マイクロインジェクションを行っている。
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Research Products
(9 results)