2010 Fiscal Year Annual Research Report
内皮リパーゼを標的とした動脈硬化治療の新戦略ー新規モデルによる臨床への橋渡し研究
Project/Area Number |
21790314
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小池 智也 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (40432158)
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Keywords | 内皮リパーゼ / in situ hybridization / 脂質異常症 / HDL / 動脈硬化 / アンチセンス |
Research Abstract |
高比重リポ蛋白(HDL)を上昇させる次世代の動脈硬化治療薬の標的として注目されるELの役割を解明する目的で、ヒト近い脂質代謝系を有するウサギを用いて検討を行った。本年度は、我々が同定したウサギELの配列情報をもとに、各種ウサギモデルのEL発現を解析した。Watanabe heritable hyperlipidemic (WHHL)ウサギは、血中の低比重リポ蛋白(LDL)-コレステロールの高値とHDL-コレステロール(HDL-C)の低値を合併する遺伝的脂質異常症モデルである。このモデルの肝臓におけるEL発現量を、正常ウサギ(日本白色種,JW)ならびに、食事性高コレステロール血症を示すJWウサギと比較した。その結果、低HDL-Cを示すWHHLウサギのみ肝臓のEL発現が著明に亢進していた。さらに、動脈硬化とELの関連性を検討する目的で、in situ hybridizationを行ったところ、正常な動脈の内皮細胞では軽度であったEL発現が、動脈硬化病変の内皮細胞では増加しており、さらにマクロファージにおいても強く発現していた。次に、ELと脂質代謝との直接的な関係性を明らかにする目的で、EL発現低下モデルとしてのウサギEL特異的アンチセンス投与実験を行った。EL特異的アンチセンスは、昨年度に効果的な配列が同定できたため、それをJWウサギに6週間投与(40mg/kg/week)した。その結果、肝臓におけるEL発現の著明な低下が認められるとともに、血中のHDL-Cが軽度に上昇し、詳細なリポ蛋白解析により、粒子径の大きなHDLのコレステロールならびにリン脂質含量が増加していた。
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