2010 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析イメージングを用いたヒト加齢黄斑変性症のバイオマーカー探索
Project/Area Number |
21790315
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
早坂 孝宏 浜松医科大学, 分子イメーシンク先端研究センター, 特任助教 (90415927)
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Keywords | 網膜 / 加齢黄斑変性症 / 質量分析 / イメージング / バイオマーカー |
Research Abstract |
本研究はヒト加齢黄斑変性症の発症メカニズムの解明を目的としたバイオマーカーの探索を目指している。解析手法として採用する質量分析イメージングは、組織切片上に予めマトリックスと呼ばれるイオン化促進の働きを持つ有機試薬を均一に塗布し、レーザー照射によるラスタースキャンを行う。これによって得られた各点のスペクトルから任意のシグナルを抽出し、各点でのシグナル強度に応じた二次元分布として生体分子を可視化する手法である。これまでに既存のマトリックスを塗布し、生体分子を検出するための条件を最適化した。今年度はさらに多くの生体分子を検出することを目的として、銀を核としたナノ粒子をマトリックスとして代用することによるイオン化を試みた。その結果、これまでの手法では検出することができなかった各種脂肪酸の検出および視覚化に成功した(J Am Soc Mass Spectrom, 2010)。既存のマトリックスでは生体分子との巨大な共結晶を形成することから、質量分析イメージングの解像度を低下させる要因となっていた。ナノ粒子は微小な結晶を形成することから、微小な構造領域を有する網膜へも有用であることが明らかになった。質量分析イメージングによって取得されるデータセットは膨大であり、その解析には長時間を有し、特異的な分布を有する生体分子の探索を遅らせる要因になっていた。そこでデータセットから自動的に有意義な生体分子のシグナルを検索するソフトウェアを開発した(Anal Bioanal Chem, in press)。そのソフトウェアをマウス網膜から取得されたデータセットへ適用したところ、網膜の各構造別に発現する脂質種を自動的に抽出するに成功した。これらの手法をヒト加齢黄斑変性組織へ応用し、様々な種類のシグナルを検出している。この解析により、病理特異的に発現する分子種を特定することが期待される。
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Research Products
(9 results)