2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790321
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
矢野 雅司 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 技術員 (10531858)
|
Keywords | 自己寛容 / 胸腺 / AIRE |
Research Abstract |
AIRE発現細胞の系譜を解析できるfate-mappingの実験から、意外にもAIREが初期胚にも発現していることを見出した。すなわち、AIREは発生初期と胸腺髄質上皮細胞という二相性発現を示す。前年度、初期胚におけるAIRE発現の意義、およびその発現制御機構を解析する目的で、AIRE/GFP-KI(+/gfp)およびAIRE/GFP-KI(gfp/gfP)の両者からES細胞を樹立していた。そこで本年度はこれらのES細胞を用いて、AIRE発現機構のエピジェネティックスに取り組むこととした。すなわち、AIRE/GFP-KI(+/gfp)およびAIRE/GFP-KI(gfp/gfp)由来のES細胞からGFP発現集団をsortingし、AIRE保有(+/gfp)ES細胞とAIRE欠損(gfp/gfp)ES細胞の遺伝子発現プロファイルをmicro array法を用いて解析した。AIRE欠損ES細胞と比較し、AIRE保有ES細胞で2.5倍以上の発現上昇を認めた121遺伝子について、既に胸腺髄質上皮細胞で報告されているAIRE依存性を個別に確認したところ、17遺伝子(14.0%)のみでES細胞、胸腺髄質上皮細胞の両細胞でAIRE依存性が観察された。すなわち、AIRE依存性には細胞特異性が存在した。また、胸腺髄質上皮細胞におけるAIRE依存性は、組織特異的自己抗原遺伝子(tissue-restricted self-antigen gene)で優位に観察されているが、ES細胞においてAIRE依存性を示した組織特異的自己抗原遺伝子の割合は、約50%であった。他方、cell freeの実験系からは、AIREのPHD domainがH3K4me0に選択的に結合することが報告されているが、細胞種ごとに観察されるAIRE依存性の違いが、この点とどのように結び付くかについて引き続き検討が必要である。
|