2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規癌関連遺伝子KRAP過剰発現系の樹立とそれを用いた癌でのKRAP機能研究
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21790331
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
藤本 崇宏 Fukuoka University, 医学部, 講師 (10446114)
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Keywords | KRAP / 癌 / 結合蛋白質 / 分子生物学 / 細胞生物学 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
我々が新規癌関連遺伝子として同定したKRAPの分子機能は不明であった。癌でのKRAP発現亢進状態を模したモデルの樹立と、それを利用した表現型解析・分子機能解析が、KRAPの生理的・病理的意義を明らかにする上で重要であると考えられる。そこで今年度では以下の1、2について実施した。 1: KPAP遺伝子発現亢進マウス(KRAPトランスジェニックマウス)の作成 導入遺伝子の高発現を達成させるために、数多くのトランスジェニックマウス作成実績がある大阪大・医・幹細胞制御学の宮崎教授らが構築したpCAGGSベクター(II. Niwa et al. Gene 108 : 193-200, 1991)を用いて、HA-tagを付加させたKRAP発現ベクターを作成し、常套法に従ってトランスジェニックマウスを樹立した。肝臓での発現が最も高く、内在性KRAPの発現量の約3倍量に相当し、次いで骨格筋、膵臓、褐色脂肪の順に有意な発現が認められ、脾臓、大脳皮質、小腸では微弱または検出限界以下であった。 2: KRAP結合蛋白の同定 KRAPトランスジェニックマウスの肝臓を材料に用いた共精製法にて、KRAP結合蛋白質としてイノシトールー1,4,5-トリスリン酸受容体(IP3R)の同定に成功した。KRAPおよびIP3Rに対する特異抗体による検討で、細胞内・組織内共局在と会合を証明した。 トランスジェニックマウスを樹立し、その成果をKRAP結合蛋白の同定に繋げた。KRAP結合蛋白に関しては世界的に未聞であり、KRAP分子機能の理解に繋がる大きな成果であると考えられる。IP3Rは正常組織・発生・分化・癌などにおいて多岐の生命現象に関与する細胞内カルシウムシグナル制御分子であるため、今後引き続き実施するKRAP-IP3R相互作用に関する研究がもたらす成果の波及効果は大きい。
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Research Products
(3 results)