2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790333
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
横山 隆志 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌研究所発がん研究部, 研究員 (00535833)
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Keywords | 白血病 / Trib1 / C / EBPα / MAPキナーゼ経路 |
Research Abstract |
Trib1の白血病原因遺伝子としての機能を明らかにし、白血病診断や治療への応用を目指すことを目的として研究をおこなった。これまでに当研究室ではTrib1がホメオボックス遺伝子Hoxa9/Meis1と協調的に機能し白血病の悪性化を引き起こすことを報告している。私たちはTrib1がMEK1と結合する点に着目し、Trib1によるMAPキナーゼ経路の制御と白血病発症機構との関連性について調べた。私たちはTrib1のC末端領域にMEK1結合モチーフ「ILLHPWF」を同定し、この配列を欠失させてMEK1と結合しないTrib1変異体(Trib1 DILL)を作製した。野生型Trib1をマウスの骨髄細胞に導入するとERK1/2のリン酸化や自己複製能の亢進を引き起こすが、Trib1 DILLはこれらの機能を失っていた。またTrib1 DILLはマウス骨髄移植モデルにおいても白血病を誘導せず、これらの結果からTrib1による白血病発症にはMEK1との結合を介したMAPキナーゼ経路の活性化が必要であることがわかった。さらにTrib1は細胞周期の進行を抑制する因子であるC/EBPaの分解を引き起こすが、Trib1 DILLはC/EBPaの分解を誘導せず、またこのC/EBPaの分解はMEK1阻害剤によって抑制されることがわかった。以上の結果から、Trib1によるC/EBPaの分解にはMAPキナーゼ経路の活性化が必要であり、Trib1はMAPキナーゼ経路とCIEBPa制御において重要なアダプター分子として機能していることが示された。現在、上記の研究結果をBlood誌に投稿中である。
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