2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790335
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川野 光子 東北大学, 加齢医学研究所, 教育研究支援者 (90422203)
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Keywords | 免疫学 / アレルギー |
Research Abstract |
近年アレルギー患者数は増加の一途にあり、新規診断法・治療法の開発が求められている、そこで本研究は、金属アレルギーに代表される遅延型過敏反応発症の分子機構を時間軸という因子を含めて包括的に追究することを目的とした。その際、申請者らが開発した金属アレルギー誘導モデルマウスを用いることで金属特異的な反応を誘導し、詳細に検討した。平成21年度の成果として、(1)パラジウムに反応するエフェクター細胞およびT細胞受容体レパトアについての情報を得ていたこと、(2)金属アレルギーの誘導に伴い発現上昇が見られたT細胞上の共刺激分子受容体に対する抗体の投与によりアレルギー誘導の軽減が見られたこと等から、平成22年度は金属投与による遅延型過敏反応の発症機序についてのさらなる検討を行った。その結果、金属アレルギー誘導により共刺激分子受容体の発現が上昇したエフェクターT細胞サブセットが発現していないKOマウスを用いた場合には金属アレルギーの誘導が阻害されること、炎症性サイトカインの一つであるIFN-γがこのT細胞サブセットから放出されることが判明した。以上より、マウスに金属アレルギーを誘導した場合、特定のT細胞受容体レパトアが反応し金属投与部位に浸潤すると同時に、あるT細胞サブセット上に共刺激分子受容体の発現が誘導され、そのT細胞サブセットから炎症性サイトカインが放出されることで局所に炎症が起こることが考えられる。 本研究による金属特異的に反応するT細胞レパトアおよびサブセットの決定は、それらをマーカーとして用いることで金属非接触型の新規診断法の応用開発に繋がるものである。また、金属アレルギーの誘導に伴いT細胞上で発現上昇が認められる共刺激分子受容体は、金属アレルギーにおける新たな治療標的と成り得る。
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Research Products
(1 results)