2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍幹細胞に立脚した悪性リンパ腫の性格付けに関する解析
Project/Area Number |
21790350
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 純一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20379176)
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Keywords | 癌 / 悪性リンパ腫 / 腫瘍幹細胞 / 病理学 |
Research Abstract |
悪性リンパ腫において腫瘍幹細胞としての役割をもつ細胞を同定するためには,リンパ腫細胞からマーカーを利用してソートされた細胞をNOD/Scidマウスに移植する必要がある.そのためには腫瘍幹細胞マーカーを検索しなければならない.本年度は,まず子宮内膜癌細胞株について腫瘍幹細胞を多く含むとされるALDH1発現と増殖能や浸潤能との関係を検討したところ,ALDH1の発現が高い細胞群において低い細胞群と比較して増殖能や浸潤能が高く,薬剤抵抗性を示した.次に予後との関係を子宮内膜癌の臨床検体を用いて検討したところ,ALDH1を高発現する細胞を多く含む症例では予後不良であり,腫瘍幹細胞の存在の多寡が予後を決定することが示唆された.また,悪性リンパ腫の一組織型であるホジキンリンパ腫の細胞株より,造血幹細胞や乳癌細胞のside-populationにおいて除去能が高い活性酸素をマーカーとして用いて検討した結果,活性酸素の発現が低い細胞が小型単核細胞群の一部にみられ,発現が高い細胞は大型多核細胞群に多くみられた。これらの小型単核細胞は大型多核細胞に比べて腫瘍形成能が高いことがin vitro colony形成能およびNOD/Scidマウスへの移植により確認された.さらにホジキンリンパ腫細胞株ではALDH1を発現する細胞群が一部にみられ,それらは活性酸素が低い群の細胞と同様に腫瘍形成能が高いことが確認された.以上より悪性リンパ腫においても腫瘍内に腫瘍形成能を有する一群が存在することが示唆された.
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