2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化的ストレスを介した遺伝子発現再活性化による糖尿病骨合併症発症機構の解析
Project/Area Number |
21790351
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森 清 Kobe University, 医学研究科, 特命助教 (70432573)
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Keywords | 酸化的ストレス / 遺伝子発現制御 / メチル化シトシン / sFRP-4 / TBP / MeCP2 |
Research Abstract |
本年度には、研究目的に挙げた項目(1)~(3)のうちで、特に(1)について研究を行った。 1. Memthylglyoxal(MG)投与による酸化的ストレス下での遺伝子発現変動の網羅的解析;マウス骨髄間質細胞株ST2に対し、24時間の100μMのMG投与による酸化的ストレスを短期的に加え回収したmRNAの発現を網羅的に解析したところ、31,769遺伝子のうち、354遺伝子が2倍以上の発現増加を示し、121遺伝子が0.5倍以上の発現低下を示した。予備検討結果と同様にsecreted Frizzled-related protein 4(sFRP-4)遺伝子を含む、多くのWnt/β-cateninシグナル関連遺伝子に優位な発現変動を認めた。 2. 酸化的ストレスにより発現回復を示すsFRP-4を含む遺伝子プロモータ領域の構造解析;マウスsFRP-4遺伝子プロモータ領域には転写開始部位上流37塩基あたりにTATA-boxを認め、その上流5塩基の部位に2つ連続するCpGを認めた。また、ST2細胞から回収したgenomic DNAを用いたsodium bisulfate mapping法では、独立した12株での検討では特にTATA-box直上のこの2連続するCpGのメチル化は高頻度(20/24)であり、steady-stateでのsFRP-4遺伝子発現を抑制する機構の一つとして、このTATA-box直上CpGメチル化の重要性が示唆された。 3. TATA-box直上のCpGのメチル化/酸化修飾がmethylcytocine binding protein(MCBP)とTATA-box binding protein(THP)結合能に及ぼす影響の検討;sFRP-4遺伝子プロモータTATA-box周辺配列をプローブとしたゲルシフトアッセイでは、MCBPの一つMeCP2結合はTATA-box直上CpGメチル化で強化され、同部の8-0HdG導入により低減された。TBP結合はこれとはreciprocalな変化を示した。また、MG投与したST2細胞を用いたクロマチン免疫沈降でも酸化的ストレス存在下でMeCP2結合は低減し一方で、TBP結合は増強した。よって、steady-stateのsFRP-4遺伝子プロモータTATA-box直上CpGのメチル化は同遺伝子発現を抑制しているが、酸化的ストレズの付加は、同発現抑制を阻害し、発現を正に制御することが明らかとなった。 以上の成果を、国内外の学会に於いて発表した。 なお、実験器具、実験系に関して、最適な実験系を整備することが出来た。
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