2010 Fiscal Year Annual Research Report
胞巣状軟部肉腫の病態における腫瘍特異的キメラ遺伝子の役割
Project/Area Number |
21790352
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石黒 尚子 鳥取大学, 医学部, 助教 (50346350)
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Keywords | 軟部腫瘍 / キメラ遺伝子 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、胞巣状軟部肉腫が腫瘍特異的キメラ遺伝子ASPL-TFE3により獲得する分子生物学的特徴を解明することである。本年度は、DNAマイクロアレイ解析によるASPL-TFE3の標的遺伝子群の同定を目的として研究を行い、以下の成果を得た。 (1)293/TR-AT細胞株を樹立した。 昨年度に樹立したHT1080/TR-AT細胞株、UE7T-13/TR-AT細胞株に加え、胎児腎由来細胞株293を用いたASPL-TFE3安定発現細胞株の樹立に成功し、293/TR-ATと名付けた。 (2)マイクロアレイ解析用の蛍光標識サンプルを調製した。 293/TR-AT細胞株およびUE7T-13/TR-AT細胞株について、未処理またはASPL-TFE3発現誘導後の細胞からトータルRNAを抽出した。抽出したRNAからcDNAを合成し、cRNAの増幅と蛍光色素Cy3による標識を行った。 (3)DNAマイクロアレイ解析により、遺伝子発現レベルを数値化した。 45000個程度の既知遺伝子がスポットされている市販のマイクロアレイスライドガラス上でCy3標識サンプルのハイブリダイゼーションを行った。そして、アレイのスポットシグナルをスキャニングし、それぞれの細胞株について遺伝子発現レベルを数値化したデータを取得した。 以上の成果より、ASPL-TFE3発現誘導前後の細胞における種々の遺伝子発現レベルを数値化したデータを取得した。今後、本データの解析を行うことにより、ASPL-TFE3標的遺伝子群を網羅的に解明できると期待される。ASPL-TFE3標的遺伝子群には腫瘍の発症、進展と密接にかかわる遺伝子群が含まれていると推測され、本研究の成果は胞巣状軟部肉腫の病態を理解する上で非常に有用であると考えられる。
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