2010 Fiscal Year Annual Research Report
胃型・腸型胃癌に特異的な細胞表面蛋白コード遺伝子のCAST法による網羅的解析
Project/Area Number |
21790354
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大上 直秀 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60346484)
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Keywords | 胃癌 / 形質発現 / CAST / デスモコリン2 / テトラスパニン8 |
Research Abstract |
本研究では、胃型・腸型胃癌に特徴的に発現している細胞表面分子を網羅的に解析し、新規胃癌治療の標的分子を同定することを目的とした。前年度までに、正常胃粘膜組織および胃癌細胞株MKN-1、MKN-28を材料に、分泌分子、細胞表面分子を効率よく同定できるCAST法で細胞表面分子の網羅的解析を行った。合計4320クローンのシークエンスを行い、胃癌において特徴的に高発現しているDSC2遺伝子を同定した。DSC2は細胞接着装置であるデスモソームを構成する分子の1つであるデスモコリン2をコードする遺伝子であり、胃癌組織においては約30%の症例が陽性である。本年度は、腸型形質の胃癌細胞株であるHSC-57を材料にCAST法で細胞表面分子の網羅的解析を行った。合計で2880クローンを解析し、正常胃粘膜のCASTデータと比較しHSC-57のみで発現している遺伝子に注目した。それらのうち、TSPAN8遺伝子はテトラスパニンファミリーのひとつであり、膜貫通蛋白質をコードする。外科的に切除された胃癌組織210例を材料にTSPAN8の発現を免疫染色で検討した結果、TSPAN8は腫瘍細胞の細胞膜に染色された。72例(34%)の症例がTSPAN8陽性であり、TSAPN8陽性例は有意に予後不良であった。TSPAN8の発現と胃型・腸型形質との間に有意な関連はなかった。胃癌細胞株を材料にTSPAN8の発現をsiRNAでノックダウンし、細胞増殖能をMTTアッセイで、浸潤能をボイデンチャンバーアッセイで検討した。その結果、増殖能、浸潤能とも有意に減少した。以上の結果から、TSPAN8は胃癌の進展に寄与していると考えられた。TSPAN8は全身正常組織で発現が低いため、TSPAN8の阻害剤は副作用の少ない治療薬として期待される。
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