2009 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝炎・肝硬変に生じる肝内胆管癌の発癌機構の解明
Project/Area Number |
21790355
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
相島 慎一 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 助教 (70346774)
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Keywords | 胆管癌前駆病変 / 肝硬変 / ウイルス性肝炎 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
【目的】Biliary intraepithelial neoplasia(BilIN)は肝内結石症、原発性硬化性胆管炎、先天性胆道拡張症などの慢性胆道疾患に生じる胆管上皮内病変として提唱された。今回我々は慢性胆道疾患に生じた胆管上皮内病変(biliary type)と胆道疾患を伴わない肝硬変に生じた胆管上皮内病変(LC type)について病理学的に比較した。【方法】65例の慢性胆道疾患症例(肝内結石症、原発性硬化性胆管炎、胆道拡張症)と310例の肝硬変症例(肝細胞癌切除180例および移植摘出肝130例-肝細胞症例を含む)について胆管内異型上皮の有無を観察し、免疫組織化学的に検討した。 【結果】Biliary typeでは33例がBilIN(BilIN-1 ; 23例,BilIN-2 ; 7例, BilIN-3 ; 3例)で、LC typeでは34例がBilINである(BilIN-1 ; 24例,BilIN-2 ; 8例,BilIN-3 ; 2例)と考えられた。LC typeに比べBiliary typeのBilINでは胆管壁の炎症細胞浸潤が強くみられた。いずれのタイプでも異型上皮はほとんどが大型胆管にみられ、どちらのタイプのBilINにおいても、p21の核内発現の増加およびp16核内発現の減少がBilINの異型度と比例してみられたが、MUC5AC発現、cyclin D1発現、ki67核内発現ともにLC typeに比べ、Biliary typeで高率に認めた。 【結論】肝硬変に生じた胆管異型上皮は胆道疾患にみられる異型上皮に比べ、増殖能は低かった。今回検討した肝硬変症例の多くは肝細胞癌を有しており、腫瘍の圧排による胆管への影響や、移植例では繰り返された内科的治療による胆管への影響で異型性が生じた可能性がある。また肝硬変状態での血流動態の変化によって上皮の異型性が生じた可能性もあり、肝硬変症例においては胆管上皮の異型性が腫瘍性であるかどうかについては慎重に吟味すべきであると思われる。
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Research Products
(3 results)