2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝炎・肝硬変に生じる肝内胆管癌の発癌機構の解明
Project/Area Number |
21790355
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
相島 慎一 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (70346774)
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Keywords | 胆管前駆病変 / 肝内胆管癌 / S100P / Ezrin / RAGE |
Research Abstract |
【目的・方法】 S100P蛋白はカルシウム結合蛋白であるS100蛋白の一つで多くの癌腫で発現し、細胞内外においてEzrinや終末糖化産物受容体(receptor for advanced glycation end-products; RAGE)を介して細胞増殖や浸潤に関わるといわれている。今回、肝内胆管癌(ICC)110例およびBilIN (biliary intraepithelial neoplasia)39例において、S100P、Ezrin、RAGE蛋白発現を免疫組織化学的に検討しその発現と臨床病理学的因子、術後生存率を比較した。 【結果】1)S100P蛋白は再生胆管上皮ではわずかに陽性で核内発現がBilIN-1の15%、BilIN-2の75%、BilIN-3の100%に陽性で異型度が増すにつれ発現率が高くなった。2)S100Pは末梢型ICCでは12%に陽性であるのに対し、傍肝門型ICCでは68%に陽性であり(p<0.0001)、Ezrinも傍肝門型ICCで高率に発現し(p=0.0039)、S100PとEzrin発現には正の相関を認めた。3)末梢型ICCにおけるS100P発現は血管浸潤、リンパ管侵襲群とリンパ節転移群で高く(p=0.0209、p=0.0003、p=0.003)、予後不良であった(p=0.001)。 【結論】 S100P-Ezrin経路が傍肝門型ICCにおいてはBilINからの発癌に関与し、末梢型ICCにおいてはその悪性度に関与することが示唆された。
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Research Products
(4 results)