2010 Fiscal Year Annual Research Report
Hsp90によるシャペロン分子の時空間制御と免疫応答
Project/Area Number |
21790359
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
奥谷 浩一 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70457703)
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Keywords | Hsp90 / 樹状細胞 / 初期エンドソーム / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
昨年度までの研究でHsp90は結合分子を初期エンドソームに輸送・局在させる、すなわち時間的・空間的制御能を有することを明らかにした。免疫賦活能を有するCpG-ODNをHsp90と複合体を作成すると樹状細胞内の初期エンドソームに長時間留まり免疫応答が増強することを示し、Hsp90は抗腫瘍免疫における有効なアジュバントとなる可能性がある。さらに本来免疫原性を持たない自己のDNAもHsp90と複合体を形成すると、ヒトpDCのIFN-α産生能を誘導することが明らかになった。SLE患者血清中のHsp90濃度を測定すると健常人と比較して高値であった。SLE患者血清をヒトpDCに刺激するとIFN-αを産生したが、健常人の血清をヒトpDCに刺激してもIFN-αは産生しなかったことからSLE患者血清中にIFN-α産生を促進する分子が存在することが示された。またこのSLE患者血清から抗Hsp90抗体を用いてHsp90を除去するとIFN-αの産生能は50%となった。pDCからIFN-α産生を刺激する分子はヒトDNAおよびRNAといわれており、SLE患者の血清中ではこれらのIFN-α産生に関わる分子とHsp90が複合体を形成していることが示された。このように複合体を形成することで自己のDNAの分解を抑制し、かつ効率よくヒトpDCに取り込まれ、初期エンドソームに局在させることでIFN-αの産生を促進するものと考えられ、さらにHsp90がSLEの病態に関わると考えられるとともに、Hsp90を除去することでIFN-αの産生を抑制し、SLE治療の一つとなることが期待される。
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Research Products
(4 results)