2010 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨下骨組織の改築とRECK分子に着目したヒト変形性関節症の病態解析
Project/Area Number |
21790364
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 徳宏 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40445200)
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Keywords | 病理学 / 細胞・組織 / 関節 / 骨 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
本年度にはまず、ヒト変形性関節症(OA)関節軟骨下骨から単離・培養した骨芽細胞様細胞を用いてRECK分子の発現調節について検討した。アスコルビン酸、β-グリセロリン酸、デキサメサゾンを加えた培地(分化培地)で細胞を培養すると、通常培地での培養時よりもRECK発現はmRNA、タンパク質レベルで増加した。この発現亢進は分化誘導開始から2日の間に顕著であった。上記3種の分化誘導因子の中ではデキサメサゾンが最もRECK発現を増加させるという結果が得られた。また、RECK発現量は細胞密度とも関連しており、培養ディッシュ上で細胞が密に増殖している条件下で発現が上昇していた。骨に存在する数種のサイトカイン・増殖因子(IL-1,TNF-α,TGF-β)を加えて細胞を培養した場合のRECK発現の変動をRT-PCR法で検討したが、はっきりした増減の傾向は見いだせなかった。このヒトOA由来骨芽細胞様細胞にRECKを標的とするsiRNAを電気穿孔法によって導入し、RECK発現抑制細胞を作製する方法を確立し、RT-PCR法・イムノブロット法で発現抑制を確認した。マウス骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1においても同様の発現抑制細胞を作製し比較したところ、MC3T3-E1細胞株よりもヒトOA由来骨芽細胞様細胞の方がsiRNAによる発現抑制効果が高く、発現抑制の持続日数も長いことがわかった。発現抑制細胞とcontrol細胞との間にコラーゲン産生・増殖・骨芽細胞分化の明らかな差は見いだせていないが、培養条件や測定法に今後検討の余地があると考えられた。Monolayer wounding assayにより細胞遊走を評価したところ、発現抑制細胞とcontrol細胞との間に遊走能の有意な差は認めていない。
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