2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790365
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三上 修治 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20338180)
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Keywords | 上皮-間葉転換 / 腎細胞癌 / Snail / 転移 / 浸潤 / 紡錘形細胞癌 |
Research Abstract |
【背景と目的】Snailは細胞接着因子であるE-cadherin発現を抑制し、細胞外マトリックス分解酵素であるmatrix metalloproteinase (MMP)発現を誘導するepithelial-mesenchymal transition (EMT)に関与する転写因子である。本研究では腎細胞癌におけるSnail発現の検討し、臨床病理学的因子や予後との相関を検討し、siRNAを用いてin vitroにおけるSnailの機能解析を行った。 【方法】原発性腎細胞癌97例(淡明細胞癌83例、乳頭癌10例、嫌色素細胞癌4例)を対象にSnailとE-cadherin発現を免疫組織学的に検討した。腎細胞癌由来の細胞株786-OのSnail発現をsiRNAによって抑制し、E-cadherinとMMP発現の変化を定量PCRによって測定するとともに、Matrigelを用いて浸潤能を測定した。 【結果】SnailはG3の淡明細胞癌において高発現しており、G1・G2の淡明細胞癌,乳頭癌、嫌色素性細胞癌では発現が低かった。E-cadherin発現は嫌色素細胞癌において高く、他の組織型では低かった。Snail高発現・E-cadherin低発現例は再発率が高く、予後不良であった。siRNAによってSnail発現を抑制するとnon-targeting siRNAを導入した細胞に比べ、E-cadherin発現の上昇とMMP9発現抑制を認め、Matrigel上での浸潤能が低下した。 【考察】SnailはE-cadherin発現を抑制し細胞接着を低下させ、MMP発現を誘導し細胞外マトリックスの分解を促進し、癌細胞の浸潤能を亢進されることが判明した。上記のようにSnailが腎細胞癌のEMTに関わる重要な転写因子であることがわかったため、Snail発現の特異的な抑制が腎細胞癌の治療標的になる可能性が示唆された。
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