2010 Fiscal Year Annual Research Report
GLI1新規標的遺伝子HES1,DEC2による膵癌悪性形質発現メカニズムの解析
Project/Area Number |
21790370
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
稲熊 真悟 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80410786)
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Keywords | 膵臓癌 / 転写因子 / GLI1 |
Research Abstract |
我々は、現在までにcycloheximideを用いた実験から、Zinc finger型転写因子GLI1が、bHLH typeの転写抑制因子DEC2(BHLHE41)の発現を直接誘導することを明らかにしている。今回は、DEC2のプロモーター領域(-1728~+291)をpGL4レポーターベクターに導入し、レポーターアッセイを行うことで、-1117~-1126に存在するCACCC-boxを介して、GLI1がDEC2の発現を誘導することを明らかにした。また、DEC2はミスマッチリペア遺伝子MLH1の転写を抑制することを、Nakamura H.らが報告している(Oncogene,2008)。そこで、GLI1,DEC2の発現ベクター、およびDEC2の発現を抑制するshRNAベクターを膵臓癌細胞株に一過性導入し、MLH1発現の変化を検討したところ、外来性GLI1によって誘導された内因性DEC2が、有意にMLH1発現を抑制することを見出した。次に、膵臓癌切除材を用い、DEC2,MLH1発現を免疫組織学的に検討したところ、正常膵管上皮に比してPancreatic intraepithelial neoplasia (PanIN)-2,PanIN-3,浸潤癌で有意なDEC2発現上昇、MLH1発現低下を観察した。また、GLI1発現とDEC2,MLH1発現との相関性をスピアマンの順位相関係数を用いて解析したところ、GLI1-DEC2間には有意な正の相関(R=0.785,P<0.0001)を、GLI1-MLH1間には有意な負の相関(R=-0.673,P<0.0001)を観察した。以上、膵発がんの過程で発現上昇したGLI1は、DEC2の発現誘導とそれによるMLH1の発現抑制を介して遺伝子変異を誘発し、膵発がんを亢進させている可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)