2009 Fiscal Year Annual Research Report
担癌宿主における樹状細胞サブセットの動態制御と機能不全の分子機序解明
Project/Area Number |
21790379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上羽 悟史 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (00447385)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / 樹状細胞 / ケモカイン |
Research Abstract |
担癌生体内における免疫抑制状態の解除は、癌免疫療法の潜在能力を最大限に発揮させる上で不可欠である。抗腫瘍T細胞応答の誘導に中心的な役割を果たす腫瘍浸潤樹状細胞(TIDCs)の量的、質的制御は抗腫瘍T細胞応答の最適化に不可欠であるが、TIDCsの起源ならびに生体内動態については、これまで不明であった。本研究ではマウス皮下腫瘍モデルを用いて、担癌宿主内動態を解析した。 まずTIDCsを他の腫瘍浸潤細胞と明確に区別可能な特異的マーカーの検索を行った。その結果、ケモカイン受容体CCR7をマーカーに用いることにより、マウス皮下腫瘍モデルにおいて、抗原貧食能、抗原提示能、遊走能を持っ機能的なTIDCs(CCR7^+ TIDCs)を同定できること、またCCR7欠損マウスでは抗腫瘍T細胞応答が著明に減弱することを明らかにした。 次に、マウス3LL皮下腫瘍モデルにおけるCCR7^+ TIDCsの起源および担癌宿主内動態を解析した。コンジェニックマーカーの異なるマウスを外科的に腹部で接合し、血液循環を共有させる並体結合実験と、担癌マウスに持続的にThymidinの類似体であるBrdUを持続投与することにより、増殖細胞をin vivoで標識するin vivo BrdU標識実験により、CCR7^+ TIDCsは骨髄由来であり、5-10日の間でターンオーバーしていることが明らかになった。今後、CCR7^+ TIDCsおよびその前駆細胞の増殖、分化、腫瘍局所への浸潤の分子機序を解明することで、抗腫瘍T細胞応答を最適化する新規な癌免疫治療戦略につながると期待される。
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Research Products
(8 results)