2009 Fiscal Year Annual Research Report
HGF刺激後のmiRNAによる機能遺伝子の翻訳調節
Project/Area Number |
21790382
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
長沼 誠二 University of Fukui, 医学部, 助教 (50452123)
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Keywords | マイクロRNA / HGF / 扁平上皮癌 / EMT / miR-200ファミリー / ZEB |
Research Abstract |
肝細胞増殖因子(HGF)は様々な癌細胞の増殖・分化・遊走などの機能発現に大きな役割を果たしているが、同様に様々な生物学的機能を担うとされるマイクロRNA (miRNA)発現とHGFとの関連性は興味深い。頭頸部扁平上皮癌細胞株における検討ではHGF刺激前後でいくつかのmiRNAに発現変化がみられ、そのうち発現低下していたmiR-200cとmiR-27bについてそれらの標的遺伝子の発現を検討したところ、miR-200cのターゲットであるZEB1/2,および最近miR-27bのターゲットとして報告されたMatriptaseの発現亢進を認めた。ZEB1, ZEB2 (SIP1)はEMT (epithelial-mesenchymal transition)に深く関与しており、HGF刺激による細胞の形態・形質変化に関わると思われ、MatriptaseはHGF活性化作用を持つことから、HGF活性のautoregulationに関与している可能性が考えられ、いずれもリーズナブルかつ興味深い結果であった。miR-200ファミリー(miR-200a, b, c, miR-205, 141, 429)はいずれもZEB1, ZEB2をターゲットとすることが報告されていることから、過去の食道扁平上皮癌(SCC)手術標本を用いて、レーザーマイクロダイセクション法で癌の中心部と浸潤先端部、特に形態的にEMT様変化を来した癌細胞を分取し、各々におけるmiRNAの発現を比較・検討したところ、浸潤先端部にEMT様変化がみられる標本、特に免疫組織化学的にビメンチンの発現が確認された標本では、浸潤先端部でこれらmiRNAの発現は明らかに低下していた。よって食道SCCの浸潤先端部におけるEMT様の細胞形態変化にも、miR-200ファミリーによる転写後調節が関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)