2010 Fiscal Year Annual Research Report
補体受容体シグナルによる神経新生制御の解明と臨床応用
Project/Area Number |
21790393
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
長谷川 麻衣子 順天堂大学, 医学部, 助教 (20516637)
|
Keywords | 補体受容体 / 神経新生 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
報告者らは補体受容体CR2 (complement receptor 2 ; CD21/CD19)が神経幹細胞に発現しており、その増殖・分化を負に制御していることを明らかにした。CR2欠損マウスの海馬では神経新生が増加しており、BrdU投与7日後ではastrocyte (BrdU+GFAP+)には変化がなく、neuron (BrdU+Dcx+)への分化が亢進していた。microglia (BrdU+Iba1+)のmigration、増殖には差はみられなかった。初代培養神経幹細胞をリガンドであるC3dあるいはIFN-αで刺激するとその増殖が抑制された。そこで、C3dをマウスの海馬に直接投与し7日後の神経新生を検討したところ、野生型マウスではBrdU+Dcx+細胞の減少が観察されたが、CR2欠損マウスでは変化はみられなかった。以上からCR2シグナルを抑制することにより神経新生を促進できる可能性が示唆された。 CR2は末梢ではBリンパ球に発現しており、Aktの活性化を介して分化や抗体産生を制御している。神経幹細胞の増殖抑制におけるCR2下流シグナルについては、今後検討が必要と考えられる。SLE、HIV感染、種々の神経変性疾患など補体産生が亢進する病態において、症候性痴呆を呈することが知られている。神経幹細胞のCR2シグナルを制御することにより病態進行を制御できるものと考える。SLEモデルマウスやAPP-Tgマウスなどでの解析を検討し、今後の課題としたい。
|
Research Products
(2 results)