2009 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症関連遺伝子DISC1と結合するFLJ蛋白質による大脳皮質形成機構の解析
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21790394
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
福田 敏史 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 助教 (50372313)
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Keywords | CAMDI / 統合失調症 / 大脳皮質 / 神経細胞移動 / 子宮内遺伝子導入法 |
Research Abstract |
統合失調症は人口の約1%で発症すると言われている精神疾患であるが、根本的な発症要因は未だ解明されておらず、患者数、治療費などによる社会的な損失は計り知れない。本研究では、新規DISC1結合蛋白質CAMDI(機能が明らかになったことによりFLJから改名)遺伝子産物の機能解析により、統合失調症の発症要因の解明につながることを目指した。 発生生物学的な解析で評価の高いマウス子宮内遺伝子導入法を用いて、個体発生中における大脳皮質での機能解析を行った。CAMDI遺伝子はそのmRNAの局在(Intermediate Zone:IZ)から、大脳皮質脳質面で生まれた神経細胞が皮質形成のために移動して行く過程で機能していることが示唆される。そこで子宮内の胎児脳質内にCAMDIの発現阻害ができるshRNAを微量注入し、電気パルスをかけることで脳質面に存在する神経前駆細胞に遺伝子導入を行い、発生をそのまま子宮内で続けさせた。このことにより、発生過程におけるCAMDI遺伝子の大脳皮質細胞移動に与える影響の解析を行ったところ、CAMDI発現阻害により有為に大脳皮質細胞移動が阻害された(論文投稿中)。また、突起形成阻害の傾向も見出した。 大脳皮質発生過程はマウスとヒトにおいて共通する分子メカニズムがあると考えられている。 分子レベルと個体発生レベルの解析から統合失調症発症の分子メカニズムの解明、ならびに将来的には統合失調症の予防、治療へとつながる可能性があると考えられている。本研究結果は、その一端を担うものであると考えられる。
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Research Products
(3 results)