2009 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺がんモデルマウスを用いたチロシンキナーゼインヒビターの抗がん作用の解析
Project/Area Number |
21790395
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
川井 久美 Aichi Medical University, 医学部, 講師 (50362231)
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Keywords | 癌 / 甲状腺髄様がん / キナーゼ阻害剤 / RET / モデルマウス |
Research Abstract |
平成21年度は、未認可のキナーゼ阻害剤2種類を用いて主として培養細胞レベルでこれらの阻害剤のRETに対する阻害効果を解析した。まずはマウス線維芽細胞株NIH3T3細胞に多発性内分泌腫瘍症(MEN)2A型およびMEN2B型変異RET遺伝子を導入し恒常的に変異RET蛋白を発現する細胞株を用いて、2種類の未認可のキナーゼ阻害剤が細胞増殖に与える影響を検討した。変異RET発現細胞ではコントロール細胞に比べて増殖速度が速いが、阻害剤投与により増殖抑制効果が阻害剤の濃度依存的に認められた。増殖抑制効果はいずれの薬剤でもMEN2B型RETを導入した細胞でもっとも強く、続いてMEN2A型RETを導入した細胞であり、コントロール細胞でも増殖は抑制されるがその影響は変異RET導入細胞に比し小さかった。また、阻害剤を投与した時の細胞内シグナル伝達系への影響を阻害剤の濃度を0.01μM~10μMの範囲で変えて検討した。ウエスタンブロッティングにてRET・SHCのリン酸化抑制が0.1μMの低濃度より阻害剤の濃度依存的にみられたが、下流のシグナル伝達系分子であるERK・MEK・AKTのリン酸化抑制は阻害剤濃度が10μMになってはじめて認められた。これらの結果よりこの2種類のキナーゼ阻害剤がRETリン酸化を効率的に抑制する有望な試薬であることが示され、RETおよびその下流のシグナル伝達系もあわせて抑制し、活性型変異RETが原因となった腫瘍に対して抗腫瘍効果が期待されることが明らかとなった。
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