2010 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺がんモデルマウスを用いたチロシンキナーゼインヒビターの抗がん作用の解析
Project/Area Number |
21790395
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
川井 久美 愛知医科大学, 医学部, 講師 (50362231)
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Keywords | 癌 / 甲状腺髄様がん / キナーゼ阻害剤 / RET / モデルマウス |
Research Abstract |
平成22年度は、未認可のキナーゼ阻害剤2種類を用いて培養細胞レベルおよびMoMuLV/RET-MEN2Aマウスを用いた個体レベルでこれらの阻害剤のRETに対する阻害効果を解析した。培養細胞ではマウス線維芽細胞株NIH3T3細胞に多発性内分泌腫瘍症(MEN)2A型およびMEN2B型変異RET遺伝子を導入し恒常的に変異RET蛋白を発現する細胞株を用いて、2種類の未認可のキナーゼ阻害剤が細胞運動・浸潤能に与える影響を検討した。コントロールとして用いた溶媒であるDMSOを投与した細胞に比べてこれらの阻害剤を投与した細胞では有意に細胞運動・浸潤能が抑制された。昨年これらの阻害剤が変異RET発現細胞に細胞増殖を抑制することが明らかにされたが、アポトーシスの誘導などがみられるかを次に検討したところ、阻害剤投与3時間ではアポトーシスは誘導されなかったが、24時間でアポトーシスが誘導されていることがウエスタンブロットで確認された。これらの結果よりこの2種類のキナーゼ阻害剤が活性型変異RET発現細胞の細胞運動・浸潤を抑制し、またアポトーシスを誘導することが示され、活性型変異RET発現腫瘍への抗腫瘍効果が期待されることが示唆された。またMoMuLV/RET-MEN2Aマウスに発生した甲状腺髄様がんおよび乳がんより培養細胞株を樹立した。これらの細胞ではRETタンパクが高発現しており、RETがリン酸化されて恒常的に活性化されていることが確認された。現在MoMuLV/RET-MEN2Aマウスを用いた個体レベルでの検討を続けており、十分な個体数を検討して阻害剤の有効性について解析していく予定である。
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