2011 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺がんモデルマウスを用いたチロシンキナーゼインヒビターの抗がん作用の解析
Project/Area Number |
21790395
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
川井 久美 愛知医科大学, 医学部, 講師 (50362231)
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Keywords | 癌 / 甲状腺髄様がん / キナーゼ阻害剤 / RET / モデルマウス |
Research Abstract |
平成23年度は前年度に樹立したMoMuLV/RET-MEN2Aマウス由来の甲状腺髄様がん細胞株および乳癌細胞株への未認可の2種類のキナーゼ阻害剤の効果を検討した。これらの細胞ではRETタンパクが高発現しており、RETが恒常的にリン酸化しRET下流のシグナル伝達系が活性化されている。これらの細胞を用いて阻害剤がRET下流のシグナルを抑制するかウエスタンブロッティングで検討したところ、阻害剤の濃度依存性にRETのリン酸化と下流のMEK,AKT,ERKなどのシグナルの活性化が抑制されることが明らかになった。また、細胞増殖・細胞運動・浸潤能に与える影響についても検討したところ、コントロールとして用いた溶媒であるDMSOを投与した細胞に比べてこれらの阻害剤を投与した細胞では有意に細胞増殖・細胞運動が抑制された。これらの結果および前年度までの多発性内分泌腫瘍症2A型、2B型変異RET導入細胞での検討結果から、今回用いた未認可の2種類のキナーゼ阻害剤は培養細胞レベルで変異RET活性を有意に抑制し、RETを標的とした治療薬として有望である可能性が示された。 MoMuLV/RET-MEN2Aマウスを用いた個体レベルでも引き続きこれらの阻害剤の効果を検討したが、阻害剤投与群ではコントロール群に比べ甲状腺腫瘍サイズが有意に低下し、阻害剤による甲状腺髄様がん縮小効果が個体レベルで確認された。現在はマウスへの阻害剤投与前と投与後での血清カルシトニン値への効果の検討を続けているがまだ有意差のでる結果が得られていないため、今後十分な個体数を検討して阻害剤の有効性についてさらに解析していく予定である
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