2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌性幹細胞の未分化性維持と腫瘍組織形成におけるCD133の機能解析とその臨床応用
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21790397
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
下里 修 千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ, 上席研究員 (30344063)
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Keywords | 癌 / 発生・分化 / 癌性幹細胞 / CD133 |
Research Abstract |
固形腫瘍においても、幹細胞様の性質を示す細胞群が含まれることが報告されて以来、がん組織の起源となる癌性幹細胞の存在が示唆されている。ヒト固形腫瘍細胞における幹細胞マーカー発現の意義を、腫瘍関連間質の形成能力という面から検討して、平成22年度は以下の結果を得た。 1.PCR法でヒトCD133第2エクソン遺伝子の上流2200塩基対のDNAを単離し、ルシフェラーゼ遺伝子と連結した。これを大腸がん細胞に導入すると、ルシフェラーゼ遺伝子の発現が誘導されたことから、プロモーター活性を持つことが示された。さらに、段階的に5'-上流領域を欠失させた変異プロモーターの解析から、約200塩基上流部は転写調節に重要なcis-elementであることが示された。 2.データベースによる遺伝子配列の検索から、当該領域にはGATAファミリーに属する転写因子の認識配列が含まれていた。大腸がん細胞株では、GATA6の発現がCD133の発現と一致した。また、GATA6は酪酸プチルによって発現抑制されることを見出し、これはCD133の発現低下と一致した。 3.遺伝子導入およびRNAiによる発現抑制によってGATA6発現量を変化させると、CD133遺伝子の発現が同様に変化した。また、クロマチン免疫沈降の結果から、GATA6が当該領域に結合することを見出した。 本研究から、CD133第2エクソン遺伝子の上流には、GATA6によって制御されるCD133遺伝子の新たな転写調節領域が含まれる可能性が示めされた(平成22年日本癌学会にて報告、投稿準備中)。
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Research Products
(3 results)