2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌性幹細胞の未分化性維持と腫瘍組織形成におけるCD133の機能解析とその臨床応用
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21790397
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
下里 修 千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ, 上席研究員 (30344063)
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Keywords | 癌 / 発生・分化 / 癌性幹細胞 / CD133 |
Research Abstract |
固形腫瘍においても、幹細胞様の性質を示す細胞群が含まれることが報告されて以来、がん組織の起源となる癌性幹細胞の存在が示唆されている。ヒト固形腫瘍細胞における幹細胞マーカー発現の意義を、検討した。平成23年度は、これまでに培養細胞株から得られた知見についてヒト大腸がん組織を用いて検証し、以下の結果を得た。 1.ヒト大腸がん臨床検体中に含まれるCD133陽性細胞の性状をフローサイトメトリー法で検討した。その結果、CD133はEpCAMおよびCD44の2重陽性細胞の一部に発現し、その存在率は0.5%~5%程度であった。 2.申請者らはCD133発現レベルがAKT活性化レベルと正の相関があることを見出していた。そこで、EpCAM、CD44およびCD133の3重陽性細胞中のAKT活性化をそのリン酸化レベルで検討したところ、EpCAM、CD44およびCD133の3重陽性細胞中のAKTは、EpCAMおよびCD44の2重陽性細胞と比較して、強く活性化していた。 3.AKTはβ-cateninを活性化し、その標的遺伝子の一つであるCD44発現を誘導する。そこで、申請者らは、ヒト大腸がん組織から単離した細胞のCD133およびCD44の発現レベルをフローサイトメトリー法で検討した。その結果、CD133陽性細胞のCD44発現レベルは、CD133陰性細胞と比較して、高いことが明らかになった。 以上の結果から、CD133は、実際のヒト大腸がんの内部においてもAKT/β-catenin経路を介して、発がん増強に機能している可能性か示唆された(平成23年度、日本癌学会にて口頭発表、論文投稿準備中)。
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Research Products
(6 results)