2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790401
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
青沼 宏佳 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 共同研究員 (60451457)
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Keywords | 媒介節足動物 / 遺伝子診断 / マラリア / フィラリア |
Research Abstract |
媒介節足動物のコントロールは感染症制圧の重要なキーのひとつであり、ヒトの発症予測や感染症拡大防止策の遂行には、媒介者である節足動物の病原体保有状況を正確に把握することが不可欠である。このような調査には、これまで、主としてPCR法やELISA法の適用が進められてきた。しかし、これらの手法には高度な機器が必要であり、コストや時間もかかるため、実際の流行地域での汎用性には問題があると考えられている。また、検出感度が低いという欠点もあり、病原体が少数の場合には見落とされがちである。本研究は、流行地域での利用を目的とし、上記問題点を克服する新規システムとして、特異性が高く、短時間で媒介節足動物の病原体保有の有無を容易に診断することのできるシステムの開発を目指すものである。最初に、媒介節足動物である蚊2種と病原体2種を用いて、LAMP法による感染蚊からの病原体検出システムの構築とその評価を実施した。すなわち、「ハマダラカ-マラリア感染モデル」と「ヤブカ-フィラリア感染モデル」を用い、蚊が保有している病原体を高精度で検出するシステムの構築をおこなった。それぞれの感染蚊を用意し、体内の病原体数を顕微鏡観察によって同定した。次に、それぞれの病原体を含む蚊から核酸を抽出し、これをDNA増幅テンプレート(鋳型)として、LAMP法による病原体の検出をおこなった。これにより、わずか1個体の病原体であっても確実に検出することに成功した。次に、複数病原体を同時に検出する「マルチプレックスLAMP法」への応用を見据え、蛍光標識したプライマーを用いたLAMP法による病原体の検出を試みた。その結果、蛍光標識プライマーを使用した場合にも、非標識プライマーを使用した場合と同等の高い感度で、蚊体内の病原体を検出することに成功した。今後、これらのプライマーセットを用い、マルチプレックスLAMP法への応用を試みる。
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