2010 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫生殖母体の分化・成熟を制御する転写因子の研究
Project/Area Number |
21790403
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
金子 伊澄 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20515720)
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Keywords | マラリア / 転写因子 |
Research Abstract |
薬剤耐性マラリア原虫が急速な広がりを見せるなか、新たな制御戦略が求められている。雌雄ガメトサイト(生殖母体)は宿主から蚊への伝播を担う唯一のステージであり、伝播阻止戦略における非常に重要なターゲットとして注目されている。しかし、雌雄ガメトサイトへの分化や成熟の制御機構は明らかになっていない。申請者はネズミマラリア原虫Plasmodium bergheiにおいて、ガメトサイトの分化・成熟が2種類の転写因子AP2-G1(APETALA2-Gametocyte1)およびAP2-G2(APETALA2-Gametocyte2)によって制御されていることを見出した。すなわち前者は雌・雄両ガメトサイトの遺伝子群を、後者は雌ガメトサイトの遺伝子群を特異的に制御して、雌・雄それぞれのガメトサイトに分化・成熟させている。 AP2-G1に関し、クロマチン免疫沈降法(ChIP)を行いAP2-G1結合配列を得た。得られた配列を次世代高速シークエンサーで解析し、各配列をゲノム上にマッピングすることで転写因子結合部位を同定した(ChIP-seq)。それによりAP2-G1の標的遺伝子群の候補を同定した。ChIP-Seq法で同定したAP2-G1標的遺伝子群のプロモーター領域に高頻度に存在する塩基配列を解析し、AP2-G1のcis-acting elementの候補配列を同定した。さらにAP2-G1のマイクロアレイ解析を行いAP2-G1遺伝子欠損により発現量の減少する遺伝子群を同定した。それら遺伝子群の上流域に高頻度に存在する塩基配列を解析し、AP2-G1のcis-acting elementの候補配列を同定した。現在その候補配列に関しEMSAおよびリポーターアッセイによる解析を進めている。AP2-G2に関し、ChIPを行いAP2-G2結合DNA配列の回収を行った。 またAP2-G2のマイクロアレイ解析を行い、その結果をもとにAP2-G2のcis-acting elementの候補配列の解析を進めている。
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