2009 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア感染における記憶CD8+T細胞の分化及びその維持機構の解析
Project/Area Number |
21790409
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
都田 真奈 Nagasaki University, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30398151)
|
Keywords | マラリア / CD8+T細胞 / 免疫 |
Research Abstract |
[具体的な内容] 1.マラリア感染後記憶T細胞が分化するか調べる。 ナイーブOT-I細胞(OVA特異的なTCRを有するCD8^+T細胞)をB6マウスに移入し、OVA組換えマラリア原虫(OVA-PbA)あるいはOVA組換えリステリア(LM-OVA)を感染させ,末梢血中のOT-I細胞の割合を経時的に計測した。35日目以降でOT-I細胞を有するマウスの割合はリステリア感染後は40%であったのに対し、マラリア感染は28%であった。さらに35日目以降に残っていたOT-I細胞は中枢性記憶T細胞である事が分かった。このことからマラリア感染でも記憶細胞は分化し維持されるが、リステリア感染よりその頻度はやや低い事が分かった。 2.記憶T細胞はマラリア感染に対して反応するか調べる。 記憶OT-I細胞をB6マウスに移入しOVA-PbAあるいはLM-OVAを感染させ感染率が上昇した時点で、脾細胞中の記憶OT-I細胞の数を調べた。その結果、マラリア感染で記憶細胞の増加が抑制されていた。リステリア感染に比ベマラリア感染マウス内の記憶OT-I細胞が特にアポトーシスに陥ってはいなかった。CFSEの減衰及びBrdUの取り込みを指標に増殖を検討したところ、マラリア感染で記憶細胞の増殖が抑制されている事が分かった。これらの結果からマラリア感染で記憶細胞の増殖が抑制される事が分かった。 [意義及び重要性] マラリア感染で免疫記憶が成立しない要因の一つとして記憶細胞が増殖しにくい事が明らかとなった。今後、増殖抑制を解除する方策を見いだすことができれば、それによりマラリアワクチン効果を持続させることができると期待される。
|